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鹿児島県大隅半島のほぼ中央に位置する鹿屋市。
ここに創立114年の鹿児島県立鹿屋農業高等学校がある。名前の通り農業全般について専門的で実践的なカリキュラムで、将来の日本の「食」を担う人材教育が行われている。その専門性は平成20年度から文部科学省の「目指せスペシャリスト(スーパー専門高校)」の指定を受けていることからも伺える。

その鹿屋農高の自営者養成学科農業科畑作専攻生13人が作った「青春100%」という名前の緑茶ペットボトルがこの夏、鹿児島県内のファミリーマートを中心に発売された。
この緑茶ペットボトル、「たかが高校生の教育実習」とあなどるなかれ。まず、「やぶきた」という品種のお茶を、校内にある50アールの茶畑で雑草の草取り、肥料まきをしながら育て、一番茶の茶摘みまでを槇山由晃先生などの指導を受けながら1年かけて実施。
さらに大手を含め飲料メーカーの商品ラインナップや価格を調査し、実際に飲み比べ。最も香りがよくみずみずしい味わいを楽しめる「一番茶」の旨味と甘味を大切にした商品の味の決定し、製造の依頼やPR活動で販売促進もこなした。
さらに試飲会を実施して消費者の生の声を聞き、改良を含め来年度に向けた新商品の開発と、生産から販売までを一貫して体験する、という大掛かりで本格的な実習から生まれた商品なのだ。

また商品ネーミングとパッケージデザインは全校生徒・職員から募集し、「青春100%」という商品名と鹿屋農高の制服を着た男女生徒のイラストが採用されるなど、まさに全校を挙げてのバックアップもあったそう。

直接生産から開発まで携わった鹿屋農高生のまっすぐな気持ちが詰まったこの緑茶ペットボトル、製造された4万8000本はほぼ完売したという。
20091116_02鹿児島県は全国第2位の茶葉生産県で、鹿屋農高でも毎年多くの生徒が学び、卒業後は茶業に従事している。しかし「急須を使ってお茶を入れる」習慣が薄れ、リーフ茶の消費は減少し、価格も低迷。そんな現状をしっかりと見据え、社会の変化にも対応できるような農業後継者になってくれればと、今回の開発は行われている。
なにより生産、販売、そして完売の経験をした生徒達は授業以上の成果を感じているはず。開発に関わった生徒達の作ったお茶が、近い将来消費者にとってより親しみやすいお茶となって全国に流通していてほしい。

(Written by おばらけいこ)

鹿児島県立鹿屋農業高校
http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/Kanoya-A/

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