20091215_011983年10月。
「このあとは、今日から始まります鴻上尚史のオールナイトニッポンをよろしく」
金曜一部担当の山口良一の紹介のあと、鴻上尚史のオールナイトニッポンは、ひっそりと始まった。
すでに小劇場の世界では、第三舞台の知名度はあったものの、一般的にはまだ無名の存在である鴻上。一回目放送の前の週に「次週から登場する鴻上尚史とは誰だ?」という呼びかけに送られたハガキはわずかに2通。しかもいずれも不正解で鴻上尚史ときちんと漢字で書けた人すらいなかったらしい。

そんなノーマークからスタートした鴻上のラジオだが、「バカバカしいことを大真面目にやろう」をコンセプトにさまざまなラジオだからできる企画を展開。
その中でももっともリスナーの心に今も焼き付いている企画といえば「真夜中のジェンカ」であろう。
鴻上が放送終了後に日比谷公園でジェンカを踊る。ただこれだけの企画は、回を増すごとに参加者が増え最高で300人のリスナーが朝6時に日比谷公園でジェンカを踊るという異様な光景に。ちなみに警察に無届での企画のため番組上はリスナーに呼びかけるようなことはせず、「俺は日比谷公園でジェンカを踊るが、お前たちは絶対に来るな」と、宣言して番組を終える。そしてダチョウ倶楽部のお約束並みに絶対に来るなと言われたリスナーが日比谷公園で一緒にジェンカを踊る。もちろんラジオなので伝わるのは音だけだが、「お前たち何しに来たんだ、来るな、来るな」と鴻上が叫ぶ中、たまたま日比谷公園にやってきたリスナーの笑い声や盛り上がりは聴覚だけでも十分に伝わるゲリラ放送だった。

鴻上のラジオは、劇団活動との両立が難しく1985年3月に一度幕が降り、1987年10月、今度は金曜一部のパーソナリティとしてニッポン放送に帰ってくる。ジェンカと違い今度は警察にも許可を取っての放送となったコンビニジャックやドラゴンクエストの主題歌のリリース、テレビやメディアを巻き込んでの大ブームとなった「10回クイズ違うね」やカレー味のウンコとウンコ味のカレーどっちを食べる?の「究極の選択」など相変わらずバカバカしいことを大真面目にやる鴻上ワールドは健在。二部の頃より知名度も番組予算も上がり、チープなところがまたよかった二部時代から聴いているものとしては物足りなさも感じたが、それでもテレビでできない世界をラジオで最大限に演出した鴻上ワールドは、自身が歌ったドラクエのテーマ曲「そして伝説へ」ではないが、深夜ラジオの伝説として、今でも語り継がれている。

(Written by みぞてたかし)

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