20091216_01

「ニューモバックス」が流行っている。予約希望の電話が1日1回はかかってくる。どうしてなのか、このワクチンに予約が殺到しているのだ。
どうやら、インフルエンザから一歩進むと、「ニューモバックス」に辿り着くらしい。今年は、新型インフルエンザの猛威、と連日報道されているためか、例年より接種希望が多いのだろう。
さて「ニューモバックス」とは何か。これは、肺炎球菌ワクチンの商品名である。では、インフルエンザと肺炎球菌とは、どういった関係があるのか?

・インフルエンザがこじれると、肺炎にかかることもある。医学の進歩により、肺炎が原因で死ぬことは減ってきたものの、まだまだ死因の上位に入っている。
・高齢者における市中肺炎の起炎菌は、肺炎球菌が一番多い(70歳未満では二番目)。
・ニューモバックスという肺炎球菌ワクチンがあり、これを打つと、肺炎球菌による肺炎のリスクを抑えることができる。

この三段論法(もどき)によって、「インフルエンザが怖いからニューモバックスを打ちたい」という患者が増えていると推察される。
しかし、問い合わせの電話を何度も受けていると、次第に不安になってくる。なにせ、受ける電話みんな「肺炎のワクチンありますか」とかかってくる。「肺炎のワクチンはありませんが、肺炎球菌のワクチンならありますよ」と返事をしているが、真意が伝わっているか不安で仕方ない。肺炎球菌が原因ではない肺炎には、このワクチンは効果がないのだ。「ニューモバックス」は、すべての肺炎に有効ということではないことを理解した上で、接種していただきたい。

余談だが、この「ニューモバックス」、日本では一生に一度しか接種できないとされていた。ところが今年からは米国にならって、5年に一度打ってもよいと改正された。
2回目を打ったときに副作用が出るリスクが上がるからという理由と、時間が経つと効果は落ちてくるものの、完全に消えるわけではない(接種5年後の抗体価は約76%であったとされている)という理由から、再接種が不可とされていた。なんにせよ、再接種にはリスクも伴うので、必要性を慎重に考慮した上で行うべきである。

【参考】万有製薬
http://www.banyu.co.jp/content/hcp/productinfo/faq/pneumovaxnp/index.html#section_5

(Written by 富野浩充)

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