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静岡県のお寺の副住職である児玉龍典(Tatsunori Kodama)さんは、音楽家としての顔も持っている。なんと、この方は、ギタリスト、シンガーソングライター、デザイナー、録音、マスタリングエンジニアと、実に多彩な音楽活動をこなすアーティストなのだ!

3歳で楽譜の読み書きを趣味とし、11歳まではピアノ、11歳からはギターを趣味とする。中学生でバンド活動を始め、高校生で録音に目覚める。

自宅録音スタジオを「なごみスタヂヲ」と命名し、デザイン活動も含めて多くの作品を製作。大本山総持寺(神奈川県横浜市)にて安居(あんご)の後、現在もお寺を拠点に精力的に製作活動を行っている。

普段は黙々と作品作りに励む活動形態。完成の後は自身がコーディングしたwebサイトで音源を公開している。

今年8月の静岡地震でダメージを受けたスタジオも、ようやく回復。お寺常設のドラムセットなどを広間に広げ、バンドマンが合宿にてレコーディングを行う。自宅録音とインターネットの活用により、遠隔地とコラボレーションを行ったり、webサイトデザインを手がけたりも。

複数のバンドのほか、単独でステージに立ち、ギターインストを演奏するライブも時々行っている。

20100102_02—音楽を通して伝えていきたいことは、どんなことですか?

「産まれて来る子供の為に」。
どなたにとってもごく当然な言葉と存じております。

今では様々な音楽が溢れ、様々な団体が結成され解散していきますが、その中で生み出された音楽が一つ残らず「活きている」という状態であることは少ないように感じます。

私は幼少の頃より音楽に親しませていただいておりますが、それは自分の意思で始めたというよりも親や環境に授けていただいたものと感じております。

上手であろうが、そうでなかろうが、有名であろうが無名であろうが。
「創作を行う」という技術や感性を周りの多くの方々より授かった身としては、関わった全ての楽曲を音楽的手法は勿論、ありとあらゆる方法を用いて残し、そして伝えるための努力を惜しむわけにはいかないと感じます。
「伝えた、伝わった」ではなく「伝えるためのアーティキレーションを怠らない」
いかなる方も生涯を通して何かしらの文化と接しますが、吸収と発信を怠らないという事の尊さは、その規模の大小とかかわりの無いものと感じます。

「生まれてくる曲の為に」
全身全霊で作品を作り、それがいかなる人様の事情に翻弄されようともしっかりと残す。
自分自身の演奏技術は勿論のこと、精神状態であったり、生活習慣をより良いものにする等多くのことを思いつきますが、それはもはや「音楽活動のためのみ」と区切る必要すらありません。

お互いが自身にとってもっとも心温まる文化・芸術に常に触れ、伝え続けるという素敵な循環を切に望みます。

—2010年はどんな年になると思われますか?

大掃除に励み、年末行事をキッチリ勤め、安心して新年を迎えることができる様お互い頑張りましょう。
安心して新年を迎えた後、初心を忘れず一年を勤めれば「安心ある一年」になると思います。

皆様方の無病息災を切に願いますm(_ _)m


恥ずかしながら、筆者は、取材をお願いした当初は、「おもしろい活動をしている人物がいるんだな」というくらいの気持ちでいた。しかし、実際にお話をお聞きするうちに、この方の真摯な生き方に触れ、自然と襟を正していくような思いに至った。この方の真剣さは、音楽活動に限局したものではなく、生きるということ全体についてのことなのだろう。
ざっくばらんに見える会話の中に、取材中の筆者の緊張を解こうとしてくださる心配りや、「悔いなく生きましょう」という、強いメッセージを感じることができた。

児玉龍典
http://nagomi.tk/

(Written by S.aureus)

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