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「極楽浄土」「愛別離苦」「色即是空」・・・そんな仏教用語の名のついたカクテルが飲めるバーをご存知だろうか?場所は中野ブロードウェイの並びにあるワールド会館。なんと!僧侶(釈源光、浄土真宗大谷派)がマスターを勤める『中野・坊主バー (Vow‘s BAR)』だ。
‘坊主‘と‘バー‘、なんだかとても離れた世界のような気がするが、「一体、どうして坊主がバーを?」その謎に迫ってみた。

マスターである釈源光僧侶は、1953年神戸生まれ。高校時代は反戦運動をしていたという。世界中がベトナム戦争に注目し、日本では全共闘世代の運動が盛んだった時代だ。大学では哲学を専攻。卒業後は3年余りフランスのパリ大学へ留学。そして就職―。バブル期には施設総合管理会社の部長職に、また大手ゼネコン系の子会社に引き抜かれ、会社設立にもかかわった。四十歳を前に結婚、高級マンションに移り住み、ゴールドカードなど20枚以上を使っていたこともあったという。
しかし、バブルは崩壊。リストラ、転職、離婚、業界仲間の自殺、大借金・・・度重なる苦難が彼を襲う。そして阪神淡路大震災を経験、この時、大きな心の転機を迎えたという。
被災当時、彼は神戸市東灘区の高台のマンションに住んでいた。付近には倒壊した阪神高速道路が。広いベランダからは燃え続ける町がパノラマで迫ってきた。一瞬にして圧死した数人の友人たち。

心の底が抜けた・・・虚しい・・・なにか求めたい

荒涼とした風景から、諸行無常を観じた・・・

そんな時、かつての業界仲間の先輩に誘われて、大阪の坊主バーへ。そこで、‘ナニワのガンジー‘こと釈顕明僧侶(杉原弾氏)と出会う。家族ない、お金ない、学歴もない・・・ないないづくしの同年代の顕明氏が健気に生きている姿に、大変勇気づけられたという。次第に、源光氏にとってそこは、唯一のオアシスで、本音をぶちまけられる場所となっていった。
その後、神戸をはなれ、大阪・坊主バーの近くに住み、会社勤めをしながら夜は時々、坊主バーのバーテンとして働いた。しかし、ここでまた苦難が襲う。交通事故により一命をとりとめるが、復帰まで半年もかかった。この時、脱サラし、仏門に入ろうと決意したという。東本願寺で得度、得度式には、顕明氏が付き添った。
そしてついに2004年4月1日、東京中野に『中野・坊主バー』をオープン。キャッチフレーズは<夜のとばりに南無阿弥陀仏>

(1)真夜中の駆け込み寺
(2)各種人生相談
(3)地域社会の福祉活動
これらの目的で、美味しいお酒を飲みながら気軽に仏教にふれることができる場を提供している。

仏教の話だけでなく、哲学、時事問題、恋愛相談からエロトークまで豊富な知識と経験を交えて語る、優しく気さくな源光さんの元へ足を運ぶお客さんは多い。また、店内に飾られたたくさんのサインから著名人のファンの多さも窺える。コスプレナイト、カラーセラピー、野外ツアーなど、数々のイベントも開催しており、mixiのコミュニティから情報を入手することもできる。
ゆくゆくは、大好きなロックのバンドを結成したい。そんな夢を語ってくれる僧侶がマスターを勤める『中野・坊主バー』。是非、一度足を運んでみてはいかがだろうか?

『中野・坊主バー (Vow‘s BAR)』
〒164-0001東京都中野区中野5-55-6(ワールド会館2F)
03-3385-5530
営業時間 19時30分〜03時00分(L,O,)
日祝   不定休(要問合せ)
拝観料(チャージ)@500円

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