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その地方の風土や風習によって生まれた独特の習慣や食文化が、ご当地グルメとして見直されるようになって久しいが、日本共通の風習である「正月」にも、地方によって違った「ご当地グルメ」がある。

三陸沿岸から仙台湾にかけての地方では「カレイ」が正月にはなくてはならない定番の料理とされている。
種類は「ババガレイ」というカレイで、周辺地域では「滑多鰈(ナメタガレイ)」と呼ばれている。普段は深さにして50メートルから450メートルの海底に生息する、体長60センチメートル、体重1キロほどの魚だ。
ナメタガレイは、日本近海に棲むカレイのなかでは高級魚とされ、12月に北海道から南下し仙台沖にやってくる冬が旬の食材。

正月には、煮付けとして調理される。筒切りにしたナメタガレイを酒、砂糖、しょうゆ、みりんで煮る。ナメタの煮付けが正月料理に欠かせない地方の主婦たちは、大晦日になると腕によりをかけて大きなカレイを調理する。
煮汁を絡めた肉厚な身を一口食べると、脂ののった濃厚なうまみが口の中に広がる。ひれ部分はコラーゲンたっぷりのゼラチン質だという。
煮こごりをおせち料理に使うこともあるという。冬場に産卵期を迎えるため、お腹にたっぷりと子を含んでいることから「子孫繁栄の象徴」として食べられているのだとか。

正月には欠かせない食材のため、地域のスーパーなどでは年末に向けてナメタガレイの入荷量がどんどん増えていき、鮮魚コーナーがカレイでいっぱいになるのだとか。年末に差し迫ってくると子持ちのカレイなどは1匹5000〜6000円ほどになるなど、需要が高まると同時に価格も跳ね上がっていくという。

カレイは底引き網や刺し網で取るが、三陸沿岸から仙台湾の水揚げは減少傾向にあり、現在は宮城県内でも北海道産のカレイが売られていることが多いという。価格や調理にかかる手間などの問題から、最近では正月の食卓にも上がらない家庭も増えてきているが、地元企業が冷凍食品になったカレイの煮付けを発売するなど、地方独特の習慣を残すための努力がされているようだ。

写真提供:仙都魚類

仙都魚類のおさかなレシピブログ
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