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老舗自動車雑誌『NAVI』が、2月26日発売の4月号を最後に休刊されることになった。発行元の二玄社は「売り上げと広告収入の減少で発行が立ちゆかなくなった」としているが、『NAVI』は日本を代表するクルマ雑誌のひとつ。今、業界はそんなに厳しいのだろうか?

自動車雑誌各誌を手がける編集プロダクション、ノッシーカンパニー代表の太田政克さんにお話を伺った。

—『NAVI』休刊で、業界ではどんな反応が?

実は前から「危ない…」とはいわれていましたが、やはり驚きでした。業界内でも反響は大きかったですね。長く続いた有名誌だけに、クルマ雑誌全体の広告出稿や販売部数が減るのではないかと、これから周りに与える影響が危惧されています。

—前から危ないといわれていたということは、他の雑誌も?


状況はどこも一緒ですね。10年前から比べると広告収入も販売部数も落ちました。そこに去年のリーマンショックです。リーマンショックをきっかけに、長年なぁなぁでクルマ雑誌に出稿していたスポンサーがコレ幸いと、離れていっています。リーマンショックが雑誌業界に直撃したのではなく、不景気ムードが漂ったから、「今うちに広告出稿をやめよう。その分、インターネットに広告を出そう」という動きになっているのが実情です。でも、広告や販売部数の減少だけが業界低迷の原因ではないと思います。

—他にはどんな原因があるんですか?

雑誌自体がつまらなくなって、読者離れを起こしたことですね。最近は、企画や取材、製作、販売までのほとんどを外注先に任せていますから、出版社が斬新な企画を立てられません。また、クルマ好きな編集者自体も減っています。クルマへの熱意も憧れもない編集者が、上司やスポンサーの顔色を伺いながら、製作の全てを社外に丸投げしている。おまけに、外注先の編集プロダクションには「できるだけ安く」と、無理難題を押し付けてきますから、チャレンジングな企画はできません。これでは、雑誌の魅力が失われて読者が離れていっても仕方がないと僕は思いますよ。

—では、昔はもっとおもしろかった、と?

15年ぐらい前までは、どの雑誌も斬新で、みんなおもしろかったですね。また、『オプション』の稲田大二郎氏や、故マサ・サイトー氏など、どの雑誌にも必ず名物編集者がいて、クルマ雑誌そのものが読者の憧れだったんです。実際、僕もクルマ雑誌に憧れていた読者のひとりで、毎月15誌ぐらい買っていましたから(笑)。僕がクルマ雑誌で働きたいと思ったのも、そんな憧れからです。

—夢が叶ったわけですね(笑)。では、この先、おもしろい雑誌は出てくるんでしょうか?

おもしろい雑誌が出てくるかというより、業界を引っ張ろうとしている人たちが、「どんな企画を考えてくるか?」に目を向けてみるとおもしろいでしょう。おそらく、業界内の倒産や休刊はまだ止まないと思います。そんな中でも、ガムシャラになっておもしろい企画を打ち出そうとしている新興勢力に注目したいです。
テレビ業界には、おもしろい企画を作る制作会社がたくさんありますよね? 自動車雑誌業界もそんな制作会社が生き残っていくと思います。

クルマ雑誌業界が低迷し、休刊する雑誌があとを絶たないのは、編集体制にもあるようだ。読者としてクルマ好きとして、太田さんがいうような新興勢力や、太田さんのご自身のようなアツい編集者に注目してみたい。

(whitten by 木谷宗義)

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