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埼玉県秩父市の下久那という地域では毎年3月に「ジャランポン祭り」という陽気な葬式祭りを開催している。
「ジャランポン祭り」とは、諏訪神社春祭りの前夜祭。生きている人を生き仏(死者)に見立て、一般的なお葬式と同じことをしながら飲めや歌えの大騒ぎをするそうだ。生き仏役の方は、白装束をまとい、額には三角の紙をつけ、棺に入る。なぜか、一升瓶を抱えながら(笑)メインの坊さん役は、黒染めの袈裟をまとう。お付きの坊さん達は唐草模様の風呂敷姿というのだから、その設定だけでも笑いがこみ上げてくる。
生き仏の役は、毎年、何人かの候補から選ばれるのだが、基本的には地元地域の方が担当しているとのこと。今年は、地元に住む42歳の厄年の男性が、厄払いの意味もこめて担当するそうだ。
最も重要とされる、お坊さんの役は、決まった方が担当しており、でたらめでいい加減な言葉、その人の失敗談など、ユーモア溢れる読経に、周囲は大爆笑。酔いも回って、毎年大盛り上がりなのだとか。
開催時間は1時間程度で、葬儀が終わると神社へ棺を運び、真っ暗な境内で万歳三唱し、生き仏が蘇るところでクライマックスを迎える。

「ジャランポン祭り」は、その昔、城落ちした殿様が諏訪神社の隣にある宗源寺に、命からがら逃げつき、村人にかくまわれながら生きながらえ、その殿様の厄除けの縁起祭りとして始まったのだとか。はたまた、神社のお祭りで酔っ払った村人がふざけて騒ぎ始めたのがきっかけだとか。いくつかの諸説があるようだが、日本にひとつしかないといわれる300年前の葬式用の楽器を、シンバル、小太鼓、さながらにジャランポーン!と奏でる陽気な葬式祭りは、是非一度、この目で見てみたいものだ。

地域の大切な行事であり、基本的に非公開だが、近年ではブログなどで情報が公開されてしまうことから、興味を持つ方が増え、大阪など遠方から見に来る人もいるとのこと。50人前後の地域の参加者に対し、それと同じ数ほどのカメラが集まるというのだから、その注目の高さが窺える。大勢で見に行きたいという団体の希望もあるそうだが、代表者のみ足を運ぶようにするなど、地域の方が楽しく、滞りなく開催できるよう、見る側の配慮は必要だろう。

(Written by 石川陽那)

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