20100323_01名前のとおり飄々(ひょうひょう)として、どこにでも出没し人の心に土足で入ってくる。でもそれに悪意がなく、見ているものを笑い顔に変えていく…。芸人・越前屋俵太をひとことで表現するとこんな感じだろうか?変なヤツだが憎めない。主役や中心人物ではないがついつい気になってしまう。そんな男が越前屋俵太である。

芸人としてのデビューは、漫才ブーム真っ盛りの1981年。関西弁が笑いの代名詞になり、前へ前へとガンガンいく笑いが主流の中、俵太の芸はどこか一歩引いた感があった。得意としていたのはレポーターとしての突撃取材。「探偵ナイトスクープ」や「OH!たけし」といった人気番組でも、ローカル放送での冠番組でも、俵太の芸は何も変わることがなく、良くも悪くもマイペースで突き進んでいた。
そんな俵太のラジオは、テレビの飄々としたキャラクターよりもテンションが高く(といってもほかの芸人と比べると低いのだが)、会話の節々に冴え渡る毒舌や「なるほどぉ」とつい唸ってしまうようなトークは、テレビで被り物をしたり、犬に向かってマイクを向けたりする、「くだらねぇ」が最大の褒め言葉といえるテレビ芸人俵太とはまったく違う印象を受けた。

深夜3時からの「オールナイトニッポン」や「MBSヤングタウン」の金曜バージョン、そして俵太の地元である京都の人気番組「ハイヤング京都」と、東京・大阪・京都の看板深夜番組をいずれも担当した芸人って数えるほどしかいないと思う。それなのに、ネットを見てもテレビ芸人俵太を語るサイトは見つかっても、ラジオパソナリティ俵太への評価は見たことがない。というか芸人としてももっともっと評価されていい芸人だったのになぁと今でも思っている。

越前屋俵太は2003年頃から芸能活動を休止。書家や写真家など別な世界での表現活動を行う。一時芸能界引退説が流れたが、本人曰く引退したわけじゃないが自身もその噂を楽しんでいるとか。学生時代からテレビの煌びやかな世界で、その世界に染まることなく自分のカラーを表現し続けてきた俵太も48歳になった。20代の頃からおっさんのような風貌だった越前屋俵太なので、逆に「え!まだ48歳なの」と思ってしまう。同世代の芸人はとんねるずやダチョウ倶楽部の上島竜平、まだまだ一線で活躍している年齢だ。芸能界を休止した時の理由が「自分の目指す方向と異なるようになった」らしいが、こんな時代だからこそ越前屋俵太のような笑いが求められるのでは?一発芸やショートコントが主流の忙しいテレビは向かないかもしれないが、ラジオ芸人・越前屋俵太の世界。今でも十分に面白い番組が期待できると思う。どこかのラジオ局で企画してくれないかな?それ以前に本人がやる気になって欲しいな。イチファンとして、そう思う。

(written by みぞてたかし)

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