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5月、行楽のシーズンということで、旅行に行く人も多いだろう。飛行機、乗用車、新幹線とともに、のんびり電車で移動するのも手だ。今回は、電車を移動手段でなく、表現のひとつとして使っているというイベントを紹介しよう。

今回取り上げるのは「電車内での演劇」である。電車で?と思う人もいるだろうが、なんとこの公演、2004年に初公演を行ってから、各所で取り上げられ話題に上っているものなのである。

この公演を行っているのは、「モケレンベンベ・プロジェクト」。アフリカの幻の恐竜の名前を冠したこのプロジェクトは、自由な表現活動を目指し、1990年から7本の演劇を上演している。

このモケレンベンベ・プロジェクトが、今年「桃の実 〜チンチン電車で心の小旅行?〜」の公演を行う。再々演となるこの「桃の実」の公演場所は、東京・大阪を初めとする全国8カ所の路面電車内だ。

そもそも、なぜ電車内で公演を行うようになったのだろうか。「メンバーの藤沢が、都電荒川線で体験した出来事がきっかけです。」と話すのは、モケレンベンベ・プロジェクトの及川さん。聞くと、メンバーの藤沢さんが、電車内で自分の人生を隣席の乗客に話す老婆に遭遇。藤川さん自身も他の乗客も思わず聞き入ってしまった。老婆が降車した後も、窓の外を見ながら思いに耽る乗客たち。そのとき、電車の中で芝居ができないか、と閃いたとのこと。電車内での公演は、2004年に「浦島太郎」をモチーフにした作品が第一作目となった。

今年の公演作品「桃の実」は、堀川惠子・小笠原信之著(日本評論社)『チンチン電車と女学生―1945年8月6日・ヒロシマ』を原作とする、戦時中の物語だ。原爆投下時に電車の業務に従事していた女学生を中心にした物語で、学生として勉強しながら運転や車掌の業務を行う女学生の青春の一コマや仕事中のエピソードを、電車に乗った観客、つまり乗客に語りかけるという設定。

「乗車した観客のみなさんには、電車内で語られる原爆投下時の悲惨な情景と、走る電車の車窓の風景にギャップを感じることで、今なお核兵器が廃絶されないという現実を見つめてほしい。」と及川さん。

東京公演は5月15日から始まる。料金は2500円(高校生以下1500円)、各回定員40名の事前予約制。舞台とは一味もふた味も違った世界を、是非味わってみよう。

モケレンベンベ・プロジェクト http://www.rr.iij4u.or.jp/~mokele/

(Written by 澁澤すい)



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