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大晦日は家族揃って「紅白歌合戦」を見るという子ども時代を過ごした筆者にとって、津軽三味線の奏者は大物演歌歌手の後ろに控え、紙で作られた吹雪が舞い散る中、紋付袴姿で力強いバチさばきを披露する・・・・というイメージ。そう、津軽三味線=雪=寒い地方で受け継がれている文化、だった。

そんな津軽三味線の「日本一」に輝いた奏者が、南国鹿児島で活躍している。鹿児島県は奄美諸島があるので島唄=三味線はしっくりくるのだが(あくまで個人的な思い込み)、なぜに鹿児島で津軽三味線なのか?そこで、鹿児島県垂水市にある「ホテルアザレア」でのイベントで単独ライブを行う津軽三味線奏者・石井秀岱さん(いしいしゅうだい・本名:下井倉誠さん・写真)を直撃してみた。

石井さんが津軽三味線に出会ったのは8歳のとき。当時住んでいた大隅町に、師匠となる石井流・石井秀弦さんの稽古場が近所にあったこと、また自宅に祖母の趣味の三味線があったことから興味を持ち、習い始めたのがきっかけだとか。津軽三味線は津軽民謡の伴奏が元になっているため、アレンジ次第で様々な流派が生まれ、現在、全国各地に数えきれないほどの流派があるという。

「あまり練習はしなかった」というが、めきめきと上達し、16歳の時に青森県で開かれた全国大会に初出場。しかしそこで全国レベルの高さを見せつけられ、初めての挫折を経験。さらに稽古を積むことに。18歳で臨んだ全国大会では高校生の部で入賞、20歳の全国大会ではB級の部で3位と、着実に実力を上げていった。

そして、2008年10月に開かれた「第5回津軽三味線全国大会in神戸」で見事、優勝を勝ち取った。津軽三味線は全般的には青森はじめ東北地方の奏者のほうがレベルは高く、九州出身者が全国大会で優勝するのは師匠の石井秀弦さん、同じ流派の先輩についで3人目、鹿児島県出身者ではもちろん初の快挙だ。

現在石井さんは、仕事をしながら休日などを利用して鹿児島県内を中心にライブ活動を行っている。単独でもほかの楽器とのコラボでも対応できる幅の広さも石井さんならでは。インタビューの日のライブも、津軽三味線についてのミニ知識、津軽三味線の楽しみ方(聴き方)などのトークを交えながら30分ほどのステージで観客を津軽三味線の世界へと引き込んでいた。
過去には家元を含む5名で「DADAN(打弾)」というグループを組み、九州各地はもちろんハワイなど海外でのライブ活動も行っていたこともあり、いずれは「石井秀岱」として海外へもライブへ出かけたり、オリジナルのCDも出したいと意欲満々だ。石井さんにはぜひ、南国鹿児島から、津軽三味線の魅力を世界へと発信し続けてもらいたい。

石井秀岱ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/shudai_tsugaru

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(Written by おばらけいこ)


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