「コサキン復活」。
このニュースをネット内で見つけた時、私は目を疑った。
驚きの理由、ひとつは「こんなに早く!」。
そしてもうひとつは「ラジオじゃない!」。


以前紹介(【1980年代ラジオ伝説】第三回「コサキンが走り続けた27年半」)したが、小堺一機と関根勤のコンビ「コサキン」は、1981年秋よりTBSラジオでレギュラー番組を獲得。番組名、放送時間は度々変更になるものの27年半もの間、TBSの深夜ラジオ界を支え続けた。コサキンがラジオを始めた頃は、ニッポン放送全盛期だったが今では聴取率でTBSが逆転。コサキンもその功績は認められたものの聴取率の低迷と不況によるスポンサー数減少の影響もあり、2009年3月、コサキンはラジオから姿を消したのだ。

ところがあれから1年、コサキンが帰ってきた。それもラジオじゃなくテレビ。タイトルは「コサキンDEラ゛ジオ゛」。ん?テレビでラジオ?放送局はBS朝日。
CS、そして地デジとどんどん多チャンネルになっていくテレビ局。そのチャンネル数に追いつかないのが番組コンテンツ。特に深夜になるとどこを見ても「テレビショッピング」のオンパレード。
そんな時間に突然「パッホーン」と2010年4月復活したのである。

セットはまるでラジオ局のスタジオ。
そこに向かい合って喋るのはムックンこと小堺一機とラビーこと関根勤。向かい合った横側。ラジオでいう通常ディレクターらスタッフがいると思われるガラスの向こうにテレビカメラが設置され、二人はカメラを意識しながらも基本ラジオのスタイルで放送する。

放送イメージはラジオなので放送上のON、OFFを切り替えるための装置カフも設置。普通は音カフだけだが、テレビだけに画カフもあり、お下劣だったり秘密だったりと二人が他の人に聞かれたくない話の時は「音カフ」がOFFになり、画面上BGMだけで二人の笑いながら喋る姿だけが映し出される。
そしてさらに2人の世界に入る時や著作権問題などで映像に流せない場合には「画カフ」がOFFになる。
テレビを意識した部分はそれだけで、あとはラジオのコサキンのスタイルのまま。

番組は「フリートーク」と「企画モノ」の二部構成。
「フリートーク」は、コサキンのコンセプトでもある「中2の放課後」の世界そのもの。2人合わせて110歳のコンビが、中学生のようなエロネタやくだらない言葉遊びで盛り上がる。芸能界では大御所の地位にいる2人なので、初めて見る人はひいてしまい、コサキンを知っている人は「相変わらずだなぁ」と呆れること請け合い。
そして「企画モノ」ではお悩み相談やシネマコーナーなど、設定はあるものの基本はコサキンの即興コントの世界を堪能できる。
番組ではTwitterで視聴者からの投稿を募集。まだ放送開始直後でそれほど機能していないが、コサキンが終了してお下劣やお馬鹿ネタをどこにも発散できなくなったリスナーたちによって番組に活気が出てくるのは間違いないだろう。
多チャンネル化でいかに良質なコンテンツを作りえることができるかが課題のBSやCS放送。地上波よりも低予算でクオリティの高いコンテンツを発信するためには、ラジオの世界をそのままテレビで発信するというのは有効な手段のひとつともいえる。「コサキンDEラ゛ジオ゛」の結果次第では、今後も「テレビ発信のラジオ」が増えるかもしれない。

(written by みぞてたかし)


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