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「この薬は、冷蔵庫に入れておいた方がいいの?」
「いえ、室温で大丈夫ですよ」

なにげなく交わしているこんな会話、相手が薬剤師だったら聞き流さないでもらいたい。
薬剤師が「室温」と口にしたら、それは漠然とした温度を指すのではなく、何度から何度まで、という、きちんとした範囲を指している。
では、薬剤師の言う「室温」って何度のことだろう?

薬剤師のバイブルともいえる日本薬局方の通則第15項では、「室温」を含め、各温度を次のように規定している。
標準温度は20℃、常温は15〜25℃、室温は1〜30℃、微温は30〜40℃とする。冷所は、別に規定するもののほか、1〜15℃の場所とする。

薬剤師が言う「室温」とは「1〜30℃」、同じように、よく聞く言葉である「常温」は「15〜25℃」と定義されている。

「日本薬局方」とは、薬事法に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るために厚生労働大臣が定め、公示している。医薬品を扱うときの基準となるもので、様々な定義がなされている。

たとえば、同じ第15項には、水温についても定義されている。
冷水は10℃以下、微温湯は30〜40℃、温湯は60〜70℃、熱湯は100℃の水とする(通則第15項)

「冷水」と「熱湯」はよく聞くけど、「温湯(おんとう)」なんてあまり耳慣れない用語ではないだろうか。冷水下で撹拌するのか、温湯下で反応させるのか、など、作業時の条件としても設定される。

ふーん、でも日常生活ではあんまり関係ないでしょう。薬剤師だけが気にしておけばいいじゃない、と思ったあなた、次の写真を見ていただきたい。

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「未開栓の場合は常温で保存できます」
身近なペットボトル飲料にも、「常温」の単語が記されているのだ。
まだまだ身の回りに、このような単語が使われている製品があるかもしれない。

ただし、この商品に書かれている「常温」は日本工業規格(JIS)が決めている「常温」である。
JIS Z 8703(試験場所の標準状態)に常温は「5〜35℃の温度範囲」と記載されている。

常温とは、薬剤師の言う「15〜25℃」なのか?JISの「5〜35℃」なのか?
一般の人には悩ましい問題だ。
今後是非、両者が歩み寄って「常温」の範囲を統一していただきたい。

※ 「日本薬局方」は5年ごとに改正があり、次の改正は平成23年4月の予定。近い将来「室温」や「常温」の定義も変わっているかもしれません。


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