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駅のホームに降り立つと焼肉とキムチのニオイが「プーン」とただよう大阪・鶴橋エリア。関西屈指の「コリアンタウン」として知られているが、このJR鶴橋駅の改札を出てすぐ目につくとある看板がずっと気になっていた。

その看板には「たぶん日本一短い廻る回転寿司店」とある。大阪人的には「“たぶん”ってなんやねん!?」とツッコミを入れたくなるところ。そんな回転寿司が気になってそのお店『うをさ』を訪ねてみた。

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店の入り口からすぐ左手にその回転寿司はあった。確かに短い。回転寿司チェーンのお店と比べると本当にミニサイズだ。聞くところ1周5.6メートルするのにたった1分、カウンターもたった12席。

『うをさ』を継いで3代目の丹波孝純(たかよし)さん(49)に話を聞いた。『うをさ』が創業したのは戦後間もない1951年(昭和26)で大衆食堂からスタート。当時からこの場所にあり、店の周辺には田んぼしかなかったという。
そして、定食、丼、カレーライス、ビーフカツ、串カツなどなんでも出す店だったが、現在は「寿司・鍋・一品料理」を提供している。とはいえ、メニューを見ると一品料理の豊富さにビックリ。

さて、なぜ日本一短い回転寿司なのだろうか。回転寿司の元祖といえば同じ大阪の『元禄寿司』が知られる。元禄寿司がビール工場のベルトコンベアからヒントを得て回転寿司を導入したのが1958年(昭和33)。
『うをさ』では1961年(昭和36)ごろから店に回転寿司レーンがあったということなので、丹波さんいわく「おそらく元禄寿司の次にウチが古い」とのこと。

だが当初のレーンは短くなく、店のリニューアルで長いレーンを置くスペースがなくなったためずっと回転寿司を提供してきた「名残」で小さなレーンを置いて今にいたるという。そしてある日、お笑い芸人の「かつみ・さゆり」さんが取材で訪れた時に「なんで外に“日本一短い”看板出さへんの!もったいない!」と指摘されたことから、店の外に例の看板を設置したというエピソードがある。

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しかし「日本一短い」をキャッチフレーズにするのがなんとも大阪人らしい目のつけどころ。実際にその“たぶん”日本一短い回転寿司のカウンターに座って注文してみた。手を伸ばせば届く距離だが必ずレーンに乗せてくれるのがなかなか楽しい。注文するのも近いから超・スムーズ、なによりすぐ回ってくるのでネタの鮮度もよくておいしいさも満足。「最初は珍しがられますが、2度目からは慣れますね」とのこと。以前、オーストラリアから来てたまたま立ち寄った外国人の親子がこのミニサイズの回転寿司レーンを見て喜んだこともあるそうだ。

たぶん日本一短いだなんて“遊び心”満点だが、料理の味は老舗らしくすこぶる本格派。大阪で1、2を争うグルメスポット・鶴橋を訪れるなら、ぜひこのレアな回転寿司を体験してほしい。

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『うをさ』
住所:大阪市天王寺区舟橋町19-8
TEL:06-6763-5003
営業時間:11:30〜23:00
定休日:無休
http://www.uwosa.com/

(Written by 飾磨亜紀 Aki Shikama)


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