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アジア、特にベトナムやカンボジアへよく旅する人ならば「シクロ」という自転車タクシーをきっと知っているはず。実は日本でも自転車タクシーは「輪タク」と呼ばれ、戦後しばらく走っていた時期もあったが、いまではとても珍しい存在だ。

そのシクロが現在も神戸の街を走っている。ウェディングや観光などをプロデュースする角田“ジョバンニ”誠治さんだ。

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角田さんは今年37歳。もともと建築関係の仕事などで会社勤めしていた時期もあったそうだが、子どもの頃から大の自転車好きで、あらゆる自転車に興味を持つうちにこの「シクロ」に出会ったという。

「昨年2月ごろ、富山県氷見市で祭りの後に使ってそのまま倉庫に眠っていたシクロをほぼ無償で譲り受けました。そして、このシクロの魅力を1人でも多くの人に知ってもらいたい、喜んでもらいたいと思ってパーツを丈夫な日本製に変えたり、車幅を神戸の路地でも通れる大きさに改造したりして、ほぼ半年後にシクロを使ったサービスを始めました」

人を楽しませるにはどうすればいいか、日々考えては次々とトライしているという角田さん。
“ジョバンニ”という愛称は、3年ほど前まで働いていたスペインバルのエンターテイメント担当をしていた時から。「自分の中でエンターテイナーの素質が『開眼』した場所です」といい、シクロのサービスでも如何なく発揮している。

たとえば、ウェディングでの依頼があると、モーニングの格好にブライダル仕様のシクロで登場。また、神戸観光では絶景の夕日が見えるロマンティックなおすすめのコースを案内する。
さらに、記念日でのサプライズなプレゼントを演出することもあって「いままで世代を問わずみんな喜んでくれています」とのこと。

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そのシクロの魅力とはどういうものなのだろうか。記者も実際にシクロを初めて体験してみた。

JR三ノ宮駅の南側にあるタクシー乗り場でシクロのシートに座り、角田さんが後ろで自転車をこいで走り始めた。シクロは「軽車両」扱いなので車やバイクと同じ車道を走れる。しかも運転手が後ろなので目の前に何もない、まさに“空間を独り占めできる”気分だ。

また、シクロの物珍しさもあってか、沿道の注目を一身に集めるものの慣れてしまえば全然OK。子どもが手を振ってくれ、すれ違う人々と「こんにちわー!」とあいさつできるのもまた楽しい。

さらに、海からの風が夏でもとても心地よい。南京町、旧居留地など普段、徒歩や車で見る光景とはまったく違う目線で、角田さんによる解説つきで神戸の魅力が改めて発見できた。

角田さんによるシクロの料金は、初乗り10分500円から。30分もしくは60分コースが基本。2人まで乗車可。予約優先。ブライダルをはじめ、イベントや観光、さらに「このお店やカフェに行きたいんだけど・・・」という相談にも応じてくれる。

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最近さらに別の自転車を手に入れ、活用方法をいろいろ考案中とのこと。先日の「神戸まつり」では自転車にかき氷をのせて売って走ったという。神戸の街を誰よりも愛する角田さん。ぜひ一度シクロを体験して欲しい。

(Written by 飾磨亜紀 Aki Shikama)

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