20100903_01

日本で一番高い山が富士山(3,775m)なのは、誰もが知っているはず。
だが、日本一低い山はというと、大阪市港区にある天保山(4.5m)だ。そして、この天保山にはなんと「山岳会」が存在する。

その「天保山山岳会」の会長を務めるのが、近くに住む橋本誠さん。
山岳会は1996年、国土地理院の地形図に山名が掲載されたことがきっかけで、1997年に橋本さんが知人とともに発足させた。
実は、天保山は1993年にいったん抹消されたものの、地元の要望で復活した経緯があった。

そして、「日本一低い山」として観光PRに努めながら、登山者に「登山証明書」(1枚10円、郵送のみ)を発行し続けている。
橋本さんによると、2010年6月現在でその発行数は約52,000枚に達しているとのことだ。

20100903_02

今回、「山岳救助隊」の腕章を巻いた橋本さんとともに、天保山に登頂した。

天保山公園には小高い山が別にあって思わず間違えそうになったが、明治天皇の行幸記念碑が立つ隣にポツンと、山頂の二等三角点が確かにあった。

橋本さん曰く「この公園内にはややこしいスポットがいくつかあって、日本一低い山だけに、山頂の場所がわからない“遭難”者が少なからずいます」とのこと。
幸い、救助した経験はないとのことだが、「山の隣に消防署がありますから、遭難者があっちに駆け込んでいるんですかねぇ」なんて粋なコメントも。

20100903_03

もともと天保山は、江戸時代の天保年間にそばの安治川の土砂を積み上げた人工の山で、当時は18mあったが、徐々に削られた今の形になったといわれる。

公園入り口には、昔の天保山を描いたレプリカもある。
日本一低い山からの眺めは、とても見渡せるには程遠いが、世界最大級の天保山大観覧車や天保山渡し船、川の向こうにはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も見えた。

20100903_04

最後に、記者も橋本さんから「登山証明書」をいただいた。
この中に「あなたを『いちびり精神』の持ち主であることを証明いたします」と記してあった。
いちびり精神とは、大阪弁で“ふざけてはしゃぎ回る”という意味で、なんとも大阪らしくユニーク。

さらに別紙に「“最低”経験された、あなたの将来には向上の道しか残されていません」と、とても前向きになれる言葉が書いてあった。
最高を極めるのは確かにすばらしい、だが、最低でもまた違う魅力がある、そうふと気付かされた日本一低い山の“登山”だった。

(Written by 飾磨亜紀 Aki Shikama)

天保山山岳隊
http://www5.ocn.ne.jp/~tenpo45/


【Nicheee!編集部のイチオシ記事】
「紙コップ」に情熱を燃やす協会
“萌え”の魔の手 競艇界にも
鯨波観光【狂】会だより
ウェディングケーキはもう伸びないのか
ツイッターでうつ病を克服した@mayamiki_botの真実