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「日本酒付きの、土佐の肴弁当とか欲しいな」―そんな「Twitter」での何気ないつぶやきからたった3ヶ月あまりで高知駅に登場した新たな“駅弁”がある。
そのプロジェクトの名は「土佐駅弁学会」。Twitter上で盛り上がって集まった市民グループが、駅弁から高知の魅力をPRしようと立ち上がったのだ。
今年、坂本龍馬の出身地として注目を浴びている高知。
特に、NHK大河ドラマ『龍馬伝』の放映で高知を訪れる観光客の数は増える一方、高知を訪れる手段は車が最も多い。次いで飛行機と長距離バス、鉄道の順だ。特に、高速道路の無料化などで鉄道にはますます“逆風”が吹いている。

そんな中で2010年4月28日、高知市のデザイナー竹村直也さん/@takaramachiが「日本酒付き駅弁とか高知駅でやってほしーな。土佐酒の肴セット。」とつぶやいたことから、オリジナル駅弁の誕生へのプロジェクトが始まった。

後に学会を立ち上げることになる@mocotosaさんのブログで見た、国土交通省やJR四国などが参加した四国鉄道懇談会の報告に反応したものだったが、またたく間にTwitter上で議論が盛り上がり、5月5日に7人が集まって土佐駅弁学会を結成。
5月12日には早くも高知駅への駅弁納入業者「仕出しのあんどう」を訪問するとすぐ試作品づくりへの協力が決まった。竹村さん曰く「とんとん拍子で話が進んでいった」という。

現在、高知駅から岡山駅と高松駅への特急が運行されている。
だが、車内販売はほぼなく、駅のホームの売店も営業時間が短い。「とても観光地として誇れるものではない」という危機感をTwitter上で多くの人々と共有した土佐駅弁学会のメンバーは、まず高知駅で売っている駅弁をすべて買い、自分たちの思う通りに弁当の具を組み替えることからスタート。「どれも美味しいけど、組み合わせが今のトレンドに合ってないというか、いまいち“演出”ができてない感じがしました」

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エキベンヌ(撮影/門田幹也)

ついに7月17日、高知駅で「土佐駅弁フォーラム」を開催した。
Twitterで真っ先に参加の意思表明をした尾崎正直・高知県知事をはじめ40人あまりの参加者がオリジナル駅弁を試食。
そして8月13日、高知駅売店でタケノコやコンニャクなど田舎寿司入りの「日曜市のオバア弁当」(840円)、高知県特産の長太郎貝を使った「貝飯」(1,050円)の2種類を発売した。さらに、駅弁を売る女性「エキベンヌ」たちも登場し、特急が出発するたびにホームから笑顔で見送るなどして花を添えた。

「正直、3か月余りでここまで来ると思わなかったです」と語る竹村さん。
今後、子ども向けの駅弁など、さらに魅力的な駅弁を作っていきたいという。オリジナルの駅弁が発売されるまでの話をじっくり聞いているうち、思わずその駅弁を食べに高知まで行きたくなってきた。

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(Written by 飾磨亜紀 Aki Shikama)

土佐駅弁学会
http://camera-talk.com/ekiben/
http://twitter.com/tosaekiben


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