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大阪での落語は“上方落語”といわれ、東京の江戸落語とはまた違う歴史と魅力にあふれている。
そんな上方落語をはじめとした演芸を紹介するフリーペーパーが『よせぴっ』。落語を愛する女性たちが2006年から月1回ペースで発刊し続けており、2010年9月でちょうど4年を迎えた。

この『よせぴっ』を制作・編集する1人が、演芸ライターの日高美恵さん。もともと関西をベースにした雑誌で落語担当のライターをしていたが、情報誌の休刊が相次ぐうちに「寄席などの演芸情報が得られなくなる」と危機感を抱いたのがはじまりだった。

「いまやインターネットで何でも情報を得られる時代ですけど、落語などのファンは年齢層が幅広くてインターネットを使いこなせないお年寄りもたくさんおられます。だから『情報誌がなくなったら困る』と思って、自分たちで思い切って作っちゃいました。」

関西だけでも月200本以上あるといわれる落語会。『よせぴっ』には、大阪・天満にある上方落語の定席・天満天神繁昌亭をはじめ、大小さまざまな落語会のスケジュールがビッシリと掲載されている。
さらに、落語関係のイベントや書籍の出版情報、コラムなどもあって、当初は8ページだったが現在16ページと倍になった。
創刊当時から手書きで落語のイラストを描く中西らつ子さんの絵もとてもかわいく、落語ビギナーでも読みやすい内容となっている。

女性3人でスタートした編集体制は現在8人。だが、フリーペーパーという媒体だけに資金集めにはやはり苦労しているのをはじめ、8人それぞれ別々の仕事を抱えていて、毎月ギリギリのところで発刊する厳しい状況が続く。

そんな日高さんたちの頑張りに、上方落語界からも支援の手が差し伸べられた。今年5月、「よせぴっのための落語会」が天満天神繁昌亭で開催されたのだ。
メンバーは、桂米団治さん・笑福亭銀瓶さん・林家花丸さん・桂春蝶さん・桂かい枝さん・笑福亭笑助さんとそうそうたるメンバー。
当日は立ち見も出るほどたくさんの人々が集まり、この日から始めた『よせぴっ』サポーターへの応募も集まった。

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いまや落語家や落語ファンらに広く親しまれている『よせぴっ』。落語会の待ち時間などに客席で『よせぴっ』を広げて読むファンも増えたという。
日高さんは創刊から4年間を振り返って1つ、思い出話を紹介してくれた。

「創刊してしばらくして3年も定期購読してくれた地方のファンの方がいました。当時は3年も果たして続くのかと思いながら・・・でもその方がまた定期購読を継続してくれて、あぁ3年続いたんだと実感しました。噺家さんやファンの方でも『よせぴっ』を創刊号から全部ファイリングして持ってくれている人もいて、やっぱりうれしいです。もっと地元・大阪から演芸のよさを知ってもらうために少しでも力になりたいですね。」

『よせぴっ』は、天満天神繁昌亭をはじめとした関西各地の劇場をはじめ、東京の国立演芸場や「らくごカフェ」などでも入手可能。
定期購読も受け付けている(地方発送可)。
また『よせぴっ』サポーターは月1,000円で、紙面に名前を入れてくれる(匿名もOK)。

サポーター応募や広告掲載などの問い合わせはFAX:(06)6949-4343まで。

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(Written by 飾磨亜紀 Aki Shikama)


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