20101007_01
「今日のノルマあとなんかある?」
「あーもうあとは入力だけだから大丈夫だよ。お疲れさま」
 
そう答えて、パソコンの画面に向かう。片手には検査値と患者のメモを置き、画面を見つめて次々と今日対応した患者のSOAP(※1)を入力していく。
手元はほとんど見ない。
 
カルテや薬歴の電子化が進んで、入力がパソコンになっている薬局も珍しくない。
年々変わってゆく診療報酬点数の会計のための処方入力はもちろん、薬袋や薬剤情報、お薬手帳までシールとしてパソコン入力して発行する。
散剤の印字や一包化もパソコンが制御している場合がある。そして、話した内容や処方内容などを記録しておくのだが、電子薬歴として、紙媒体に残さない薬局もある。
 
毎日毎日入力を繰り返しているので、一年も薬剤師として働けば、もはやブラインドタッチはお手のもの。
ファンクションキーやタブキー、HomeにEndも使いこなす。
 
だが、「パソコン得意?」と訊くと、訊かれた薬剤師の半数が「とんでもない。全然使えない」と答える。
文書入力などは速いし、ワード・エクセルは一通りできる。
学会発表や院内講習なども行っている薬剤師はパワーポイントも使いこなせる。
それでも「パソコンできない」と言う薬剤師は多い。
薬剤師は揃いも揃ってシャイなのか? 
 
仕事のためだけにパソコンを使っていて、それ用のソフトは使えるけれど、他はまったくできないから「自分はパソコンを使えない」と思っているのだろうか?
「使えない」という薬剤師Aさんが、どの程度のパソコン知識を持っているのか聞いてみた。
−2ちゃんねる、って見たことありますか
A:え? 何チャンネル? 3チャンネル? 教育?
 
−MP3で保存してCDに焼いとけばいいんだよ
A:え、えむぴー、なに? なにそれ
 
−アクセス、って何に使うのか全然わからないんだけど
A:アクセスならちょっとわかりますよ
 
私がまったく使いこなせないアクセスやパワーポイントは、なぜか使えるようだ。
かくして、「ブラインドタッチはできるのに、パソコン不得意(と思っている)」という、不思議な集団を形成することになる。
文書入力の多い仕事があったら、再就職先として薬剤師を雇ってみるのもいいかもしれない。きっと、薬剤師たちの入力は速い。
※1 カルテの機能性を向上させるための記録法のひとつで、以下の4項目に分けて記述する。
S(Subject):主観的データ。患者の訴え、病歴など。
O(Object):客観的データ。診察所見、検査所見など。
A(Assessment):上2者の情報の評価。
P(Plan):上3者をもとにした治療方針。
(Written by 富野浩充)


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