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「珈琲は黒い魔女」―― 一度聞くと、けっこうインパクトの強い言葉である。このキャッチコピーを長年使い続けながら、コーヒーの味と鮮度にこだわる焙煎屋さんが、大阪市に本社を置く福田珈琲だ。
しかもこの福田珈琲のマスコットが、先ほどの黒い魔女からは一転してとてもかわいい。名前は「マコちゃん」という。このキャラクター、よく見るとあの『鉄腕アトム』に似ていると思った人は正解。マスコットをデザインしたのは、日本を代表する漫画家、手塚治虫さんなのだ。
だが、なぜコーヒーが黒い魔女であり、手塚さんのマスコットが起用されているのかが気になるところ。その謎を解くべく、大阪市西区にある福田珈琲の福田正文社長を訪ねてみた。
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福田珈琲は、長堀通の西大橋交差点から1本北に入った路地にある。
会社の1階部分は10年ほど前から喫茶コーナーとしてオープンしていて一般の人も利用可能。焙煎したてのおいしいコーヒーが1杯200円で飲めるとあって、昼時は周辺に勤める会社員やOLらの憩いの場となっている。
特に、外の倉庫部分がレトロな雰囲気抜群で人気が高いとのことで、テイクアウトで持ち帰る人も多いそうだ。
さて、福田珈琲は戦後まもない1951年(昭和26年)に創業し、コーヒー豆の焙煎にこだわって主に卸業として提供し続けてきた。
そして1965年(昭和40年)ごろ、創業者であり現社長の父にあたる福田規雄氏が、若い頃にフランス文学で読んだ詩の一節からヒントを得て「珈琲は黒い魔女」というキャッチコピーを作ったという。
このコピーは商標登録もされている。
 
しかし、福田社長曰く「このキャッチコピーだけではまだインパクトが弱いと思ったのか、社のマスコットも制作しようということになって、30年ほど前、父が旧制中学(現在の高校)の同窓名簿から有名人がいないかどうか調べた時に手塚さんの名前を見つけてお願いしたと聞いています」とのこと。
そして、手塚さんからいろいろなアイデアの詰まったキャラクターが候補として出てきた中で「一番かわいくて、なんとなく『鉄腕アトム』にも似ていると思ったのでこのキャラクターを選んだそうですよ」というのがマスコット誕生秘話だった。

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マコちゃんは、コーヒーのパッケージをはじめ、包装紙や商品を詰める箱、マグカップや社員の名刺などあらゆるシーンで活躍している。
しかも、れっきとした手塚プロダクションの著作物。兵庫県宝塚市にある手塚治虫記念館では、福田珈琲の商品「ゴールドパック」が販売されており、館内のカフェでも福田珈琲のコーヒーを飲むことができる。
「今でもマコちゃんを通じた手塚さんとの“縁”がしっかり続いています」
 
そして実際に、福田珈琲のアイスコーヒーをいただいた。さすが鮮度と味にこだわっているだけあってとてもおいしいのは言うまでもないが、決して高級感が漂っているわけでなく、毎日飽きずに飲めそうな本物の味わい。会社員やOLが毎日通うのもわかる気がした。

福田珈琲では、インターネットで一般向けの販売も行っている。
特に、焙(い)りたて・挽(ひ)きたてを届けるために独自開発された「完全真空パック」はおすすめ。
「珈琲は黒い魔女」、そしてかわいいマコちゃんのパッケージが描かれた大阪発、焙煎にこだわった福田珈琲の味をぜひ一度味わってほしい。
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 (Written by 飾磨亜紀 Aki Shikama)

福田珈琲


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