私たちが日頃、テレビでよく目にする“字幕スーパー”といわれる文字テロップは、現在、パソコンなどの電子機器で文字を入力して表示している。
だがかつて、テレビの文字テロップはすべて“手書き”だった時代があった。今でも、時代劇のタイトル文字や舞台などで手書き文字を見かけることがあるだろう。
だがかつて、テレビの文字テロップはすべて“手書き”だった時代があった。今でも、時代劇のタイトル文字や舞台などで手書き文字を見かけることがあるだろう。
テレビと舞台の手書き文字に携わって60年以上、1日も手を休ませずに仕事に打ち込んできた「手描き職人」、竹内志朗さん(77)が、2010年11月に1冊の本を出版した。タイトルはズバリ『テレビと芝居の「手書き文字」』。
「新婚さんいらっしゃい!」「探偵ナイトスクープ」「剣客商売」など、大阪でテレビ放映が始まった1956年(昭和31年)からずっと番組タイトルや文字テロップを手で書き続けてきた竹内さんの“裏方”としての仕事ぶりが詰まった本となっている。
「新婚さんいらっしゃい!」「探偵ナイトスクープ」「剣客商売」など、大阪でテレビ放映が始まった1956年(昭和31年)からずっと番組タイトルや文字テロップを手で書き続けてきた竹内さんの“裏方”としての仕事ぶりが詰まった本となっている。
竹内さんは、1933年(昭和8年)大阪市生まれ。
1950年ごろから関西を中心に舞台装置や演劇活動を始め、1956年の大阪テレビ放送(現在の朝日放送)開始とともにテレビで番組タイトル、文字テロップを書く仕事がメインとなった。
1950年ごろから関西を中心に舞台装置や演劇活動を始め、1956年の大阪テレビ放送(現在の朝日放送)開始とともにテレビで番組タイトル、文字テロップを書く仕事がメインとなった。
当時、テレビの文字テロップはすべて手書き。相撲文字、寄席文字、歌舞伎の勘亭流などありとあらゆる形の文字をひたすら“筆”を使って書いてきた。
「特に、大きな事件などが発生した直後、約20文字を斜体の明朝体で60秒足らずで早書きしなければならなくて、早書きを自宅でひたすら練習したのをよく覚えている」とのこと。しかもその頃まだ手書きの文字テロップに関するマニュアルなど存在せず、先輩もおらず、すべて独学。自分なりに試行錯誤しながら必死に仕事をこなしてきたという。
「特に、大きな事件などが発生した直後、約20文字を斜体の明朝体で60秒足らずで早書きしなければならなくて、早書きを自宅でひたすら練習したのをよく覚えている」とのこと。しかもその頃まだ手書きの文字テロップに関するマニュアルなど存在せず、先輩もおらず、すべて独学。自分なりに試行錯誤しながら必死に仕事をこなしてきたという。
だが、テレビの進化とともに、手書きのテロップはどんどん姿を消していく。テレビでの最後の大きな仕事となったのは、1995年(平成7年)に起きた阪神・淡路大震災。被災者の状況を紙にマジックで必死に書いてアナウンサーが読むのをサポートした。
これまで竹内さんが、テレビで舞台で関わった人々はそうそうたるもの。特に「必殺仕事人」で知られる藤田まことさんとは同シリーズの全舞台装置などを担当したが、今年2月に藤田さんが亡くなった時は「ものすごい寂しさを感じた」という。
また、松竹新喜劇では藤山寛美さんやミヤコ蝶々さん、新歌舞伎座では杉良太郎さんや舟木一夫さんらも。さらに来年3月、明治座での川中みゆきさん主演の舞台装置も担当する。
まだまだ現役で働く竹内さんが、「テレビに手書きの文字テロップがあったということを資料で残しておきたい」と思い立ったのが今回、出版するきっかけという。「テレビの歴史から消え去ってしまう前に残さなければ」と、当時の資料を必死に集めたとのことだ。
本を開くと、竹内さんが手がけた作品がたくさん掲載されている。その1つ1つがすべて手書きであり、文字に“味”があるようで生き生きしているのが伝わってきた。
竹内さん曰く「パソコンの文字は大きさしか変えられないが、手書きの文字は細かい変化を持たせることができて、文字に“色気”を出せる」という。
自分自身、仕事でもプライベートでも文字を打つ機会はとても多い。だが、手書きとなるとごくわずかだ。竹内さんの手書き文字を見ていると、自分もふと、子どもの頃のように手書きで文字をいろいろと書いてみたくなった。
株式会社シュプール
http://www.spur.co.jp/
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(Reported by Aki Shikama)
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