20110414_01
地震のあと、テレビが地震一色に染まったり、原発の経過だらけだったり、ACのコマーシャルだらけだったり、「ぽぽぽぽーん」がMixされたり、その曲がクラブでDJによって流されたり、と、ここ半月の流れが良くも悪くも地震に左右されていることを実感していた3月の終盤、これも地震の影響だろう、「いざというときのために、こんなものを準備しておくとよいよ」というテレビ番組コーナーをぼんやり聞いていた。
 
「……非常用の持ち出し袋を作っておくといいですね。懐中電灯、頭に巻く登山用のヘッドライトもよいでしょう。ラジオ、衣類、雨ガッパ、非常食、薬、ナイフやライターもあると便利ですね。常用薬のある人は、処方箋のコピーがあると、震災後もスムーズに薬がもらえます……」
 
ちょっと待て。

職業柄、一瞬で突っ込みが入った。
処方箋のコピーは必要ない。必要なのは、薬剤情報提供用紙(薬の説明が書いてある紙)、もしくはお薬手帳がよい。
 
処方箋のコピーでもいいのだが、いまや大抵の薬局では、「薬剤情報」と呼ばれる、お薬の一覧表がもらえる。これで十分だ。
複数の病院にかかっている人は、ここで「お薬手帳」が役に立つ。処方箋のコピーや薬剤情報だと、枚数が多くなりがさばってしまうが、手帳に全て履歴が書かれていれば、今飲んでいる薬だけでなく、増減や変遷などの状況までわかる。

ところが、処方箋のコピーを想定した場合、自分でコピーをとれるときはいいが、院内調剤の病院だと、わざわざコピーを頼まなければならない。
院外処方箋だとしても、まだまだ手書き処方の病院もあり、医師の字が読めないこともある。また、ジェネリック推奨のあおりで、処方箋を見ただけでは、医師・薬剤師といえども、調べないと何の薬かわからないことも多いのだ。
テレビに「処方箋のコピー」などと言われてしまうあたり、まだまだ薬剤師会の働きかけも弱いのではないか。

被災地では、常用の内服薬がわからない患者がいると聞く。「血圧の薬」「糖尿の薬」「血液サラサラ」程度しかわからないとも。
降圧剤を数日飲まなかったくらいで死にはしないが、糖尿病薬は種類・量がわからないと低血糖の危険をまねく。血中濃度を一定に保ちたい喘息の薬やてんかんの薬などもあり、いい加減な量を出せないものも多い。

自分の飲んでいる薬が覚えられないなら、「お薬手帳」を是非バッグに。薬剤情報を非常用袋に。薬剤師からのおすすめです。

(注:お薬手帳を薬局で記載することにより、自己負担が上がる場合があります。どうしても、という方は、ご自身でノートに書き留めるとよいでしょう)
 
(Written by 富野浩充)

「ぽぽぽぽーん」クラブMixはこちら。

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