ある未開地の市場調査に2人の靴のセールスが行った。
Aは「まったく見込みなし。なにしろ、ここには靴を履く習慣がありません」と報告。
だが、Bは「すごい市場ですよ!なにしろ、誰も靴を履いていないのですから」と報告した。
これは誰もが一度は聞いたことがある有名な話だが、ここに登場するBのように考え事業に乗り出した人間がいる。
それが山松ゆうきち氏で、その顛末を漫画で描いたのが『インドに馬鹿がやって来た』だ。
まず、発端は漫画家業に行き詰まった山松氏が、「インドで日本の漫画を売ろう!」と思いついたことから始まる。
“日本が駄目なら海外!”と考えるのは定番だし、実際に欧米や中国・韓国などでは日本のコミックが販売されている。だが、そうした土壌のある国々ではなく、本を読む文化さえないインドを選んでしまうあたりが、山松氏のぶっ飛んだところである。
さらに、山松氏がすごいのはインドにツテがあるわけでもなければ、潤沢な資金があるわけでもなく、さらにインドの公用語であるヒンディー語どころか、英語さえも話せないのだ。
普通、これだけ不利な条件がそろっていたら、まず実行はしないだろう。しかし、社会の厳しさを十分に熟知しているはずの56歳(当時)の山松氏はやってしまうのだ!
しかし、もちろん世の中そんなに甘くはない。
ロクな調査もせず単身インドへ乗り込んだ山松氏は、様々な困難に見舞われる。
しかし、それでも山松氏はあきらめない。不屈の精神で多くの難題をクリアしていく。そのバイタリティーには、もはや感心するしかない。
そんな山松氏の単身海外出版事業が、最終的にどうなったかはぜひ本書で確認していただきたい。
(Written by 伊藤清美)
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