星座占い、恋愛占い、仕事占い、キャラ占い・・・現代人は「占い」が大好きだ。神社の境内でおみくじを引く、朝のテレビ番組や携帯電話などで今日の運勢をチェックするなど、昨今、あらゆる占いが巷にあふれている。

その中で「点取(てんとり)占い」という占いをご存じだろうか。小さく折りたたまれた紙の中に占いの結果が書いてあり、15個+1個がセットになって、駄菓子屋などで150円ほどで売られている。

ある人は「昔、近くの駄菓子屋さんでよく買って楽しんでいた」と懐かしく感じるはず。一方「携帯電話のゲームで見たことがある」という若い世代もいるかもしれない。

その点取占いのオリジナルを現在、日本で唯一、製造しているのが東大阪市にある「ワカエ紙工」だ。


点取占いは、大阪・松屋町の玩具商で故・宮城隆一さんが昭和10年代に売り出した「点取辻占い」がはじまり。第二次世界大戦で一時、途絶えたのを、息子の昭三さんが1963(昭和38)年に復刻して、今に至る。占いの種類は全部で672種類あるが、最も多い時で3,000ほどあったという。ワカエ紙工では、昭和30年代のネタやイラストなど当時そのままで、しかもすべて手作りの日本製として販売し続けている。

試しに、点取占いを何枚かめくってみた。

そろばんがうまくなる ○10点
パラシュートで飛(と)びおりてみたい ○7点
君(きみ)は中途半端(ちゅうとはんぱ)なやつだ ●4点
角力(すもう)を取(と)ったら負(ま)けるだろう ●3点
酒(さけ)をのんではいけない ●1点

いずれも今でも十分に通用する文言ばかり。しかも、短い文章に込められた、ズバリと指摘する“毒舌ぶり”が見事なネタも。イラストは昭和レトロの雰囲気たっぷりで、なによりも小さな紙を1枚ずつめくるドキドキ感がたまらない。思わず子どもの頃に戻ったような、楽しい気分にさせられた。もちろん○●や点数でも遊べる。

ちなみに点取占いは、これまでこのオリジナルから発展して、コンビニのお弁当に付いて大ヒットしたり、UFOキャッチャーの景品の中に入れられたりもした。さらに最近では“ガッキー”こと新垣結衣さんが2010年9月に発売した新作CD『虹』の購入者特典として新垣さんの新作にちなんだ点取占い「ガッキーの虹うらない」なども製造されて話題となった。

点取占いには根強いファンもいる。ワカエ紙工に直接頼み、点取占いを段ボール数箱分大人買いして、1万464枚もめくった末にやっと全種類集めたという徳島県の高校教諭も。


ワカエ紙工の山田博社長によると「誤字脱字もかすれた文字も、すべてそのまま。パッケージに『その1』と書いてあるけど、その2はないし、これからも作る予定はない。1枚1枚、うちのスタッフたちが手作業で紙を折ってのりづけしているので、紙のめくりやすさや折り目も違う。そんなアナログな商品やけど、今時の若者にも喜んで受け入れられている」といい、あくまでオリジナルは変えず、これからもずっと作り続けたいという。

もし、点取占いが売られているのを見かけたら、ぜひ買ってみてほしい。1人でも友だち同士でも、紙をめくってその結果に一喜一憂して楽しめるはずだ。


取材協力:ワカエ紙工

(Written by Aki Shikama)


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