「カイゴッチ38の心得 燃え尽きない介護生活のために」の前書きには、「『頑張らない介護』こそ、私のめざすところです」という著者(藤野ともねさん)の言葉がある。

4年半前から始まった父親の介護生活は未だに絶賛継続中だそうだが、「笑いのない人生なんて、ないほうがマシ。だから大変な介護生活のなかでもどこかで笑っていたい。(中略)俯瞰してみれば笑いのツボはたくさんあるのだから」とおっしゃる。

そういったコンセプトで書かれた全38遍は、たしかにちょっとした笑いのツボにハマる話ばかりだ。

 

しかしまぁ、中にはそう笑ってもいられないエピソードもある。最後の章全部を費やした「詐欺事件〜高齢者をカモにする甘い罠〜編」がそれだ。

以前、この欄でも書いたが、実はこの著者のお父さんは、新聞の社会面を賑わせた「全財産5,400万円を騙し取られた」詐欺事件の被害者なのだ。

2006年の大晦日から始まる一連の事件の顛末が、シャープかつドラマチックなタッチで描かれている(実際に裁判はまだ続いている)。

「大晦日、実家に帰ると3万円はしそうな立派なお重がテーブルの上に置いてあった」というところから物語は始まる。「親父曰く『とても親切な証券会社』なので、預貯金のほぼ全額を預けてしまったらしい」「年明けに出向いたグローバル・パートナー(これが例の詐欺会社)には、異様に大きな神棚が鎮座し、作務衣を着た会長が応対に出て預けて半年経てば、いつでも解約できますよと言う」。しかし、元金を2年がかりの分割で返却してもらうことになったものの、入金は2回のみでとだえ、オフィスに行ってみればもぬけの殻、まるでテレビの2時間ドラマを見るような出来事が次々と起きていく。そして弁護士を交えた請求作業や裁判を起こしていくのだが…。

もちろん詐欺事件への対処方法や相談先のことなど、現実に即したアドバイスも載っているから、いざというときはたいへん役に立つ。ともかく「怪しい商取引には気をつけろ!」だ。

他の介護本ではめったに見られない詐欺の実録エピソードなので、これは是非読んでもらいたい。

編集部では、介護にまつわる体験談やエピソードをみなさんから募集します。「カイゴッチ38の心得 燃え尽きない介護生活のために」を超える、トンデモ話は出てくるのか? お待ちしております。


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「カイゴッチ38の心得 燃え尽きない介護生活のために」
著:藤野ともね
プロデュース:コンパスポイント
定価:1,365円(税込)
シンコーミュージック・エンタテイメント刊 発売中


フンコロガシの詩
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