夏の定番ともいえる「怪談」。今回、京都からとっておきのエピソードを紹介したい。

京都・祇園に近い建仁寺を少し南下した場所に「六道の辻」という場所がある。この六道の辻とは、平安時代に小野篁が冥界、すなわち“地獄”に通ったと伝わる、六道珍皇寺に現存する井戸に由来する。同寺の門そばに碑が立つ。

その六道の辻で名物なのが「幽霊子育飴」。本当に“幽霊御用達”という伝説が残っている飴だ。

昔、妊娠したまま亡くなって土葬された母親が、墓の中で赤子を産んだ。しかしすでに死んでいるためお乳を上げることができず、夜になるとこの飴を買うため、三途の川を渡る六文銭(別名、六道銭)を1枚ずつ持ってお店に通った。

そして7日目、一文銭が尽き、夜になると銭に変わる葉っぱを代わりにお店の銭箱に入れた。朝、葉っぱが入っていたことにお店が気づき、夜に後をつけていくと、その幽霊が墓の前でスッと消え、赤ちゃんの泣き声がしたため墓を掘り起こしてみると、その飴を食わえた産まれて間もない赤ちゃんがいた、というのだ。その後、母親はまったくお店に来なくなり、この話は伝説となったという。

さて、この幽霊子育飴は、六道珍皇寺近くの「みなとや幽霊子育飴本舗」でのみ入手可能。飴は琥珀色をしていて、麦芽糖のやさしい甘さがどこか懐かしいさを感じる。

ちなみに、このみなとや幽霊子育飴本舗は、京都で2番目に古い店舗。地名の轆轤(ろくろ)町も、怪談でおなじみ“ろくろ首”に由来するという。

現在、20代目という店主により、昔ながらの製法と店構えで営業していて、今でも妊娠した母親が買って行ったり、子育てがうまくいくように願ってわざわざやって来たりとひっきりなしに人が訪れるほど。商品は(大)500円、(小)300円の2種類ある。

京都でおそらくあの世に最も近い場所。この幽霊子育飴とともに、ぜひ一度訪ねてみて欲しい。六道珍皇寺では、お盆に先祖様を迎えに行く「六道まいり」でも有名だ。



みなとや幽霊子育飴本舗
住所:京都市東山区松原通大和大路東入る轆轤町80
TEL:075-561-0321
営業時間:10:00-16:30
定休日:月曜日(祝日の場合は営業) 

(Written by Aki Shikama)


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