「かしこまりましたー!」
後ろのテーブルで中年男性が店員を呼びとめ、水を注文する声を聞き、思わず私たちは顔を見合わせた。
食堂などでよく見かける光景だ。薬は、お茶やコーヒーやジュースで飲んではいけないものもある、と広く認知されているため、お茶や麦茶を出す店でも、水を要求する客がいる。
実際のところ、ほとんどの薬はお茶や牛乳やコーラで飲んでも問題ないが、中には吸収に影響するものもあるので、やはり水で飲んだほうが無難である。つまり、彼がした「水をもらう」行為は、なんら問題がないはずなのだ。
ただし、ここが飲み屋でなければ。
アルコールで薬を飲むと、お茶やコーヒーとはまた違った危なさがあって、薬が効きすぎることが多々ある。
しかし、アルコールは、薬を飲むときだけ避ければいい、というものではない。そもそも、アルコールも薬(の大多数)も、身体に吸収されて、血中濃度が上がるから効く(酔っ払う)のだ。アルコールを摂取したあとに、水で薬を飲んだとしても、吸収されて身体の中で混ざり合う。
ちなみに、アルコールの血中濃度の話をしたが、それでなくても、いままで酒を飲んでいたのだから、胃の中にまだアルコールが存在しているだろうに。
飲み屋で「酒を飲んだあと、薬を飲むために水をもらう」行為に意味がないのがわかるだろうか。
また、逆も然りで、薬が効いている状態でアルコールを飲むのも同じことだ。
とはいえ、私も、花粉症期の飲み会で、すぐにつぶれて眠くなったことがある。長時間効く鼻炎薬を飲んでいたために、昼から効いていた薬が、アルコールで増強されたのだ。酒量の調整をすればいいや、と思っていたが、酔っ払ってくると、ついいつものペースになってしまう。
節電が叫ばれている今年の夏は、ビールが特においしい。しかし、常用薬のある人は、そんなところにも気を留めたほうがいいだろう。
どうしても、というなら、家に帰ってアルコールが抜けてから、おとなしく水で飲みましょう。食後でなくても、よっぽど安全です。
(Written by 富野浩充)
(Photo by Desadaptado)
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