日本有数の鶏卵産地・和歌山県において、橋本市が約半数を占めることは意外と知られていない。橋本市は、和歌山県北中部に位置する紀ノ川沿いにある。高野山に向かう高野街道の要所として、昔から商業の栄える街だった。

その橋本から昨年3月、突如デビューしたご当地グルメが「ひね」。

ひねとは、ひねどり(親鳥)のこと。ひねの肉を現在、都会のスーパーマーケットなどで見かけることは極めて珍しい。だが、橋本では昔から卵を産みづらくなった鶏を使い、お客様に鍋でふるまうなどの習慣があった。そこに着目した橋本商工会議所が、ひねを使ったご当地グルメで“まちおこし”をしようという活動がスタートした。

まず、市内の飲食店では現在、ひねの唐揚げ、ひねの串焼き、ひねのすき焼き、ひねつけめん、ひね鍋・・・など、あらゆるひねの料理を味わうことができる(※ お店への事前予約がおすすめ)。居酒屋向けのメニューが中心だが、中には「ひね鶏の香りあげピピ・レイ風」「ひね鶏トマトソースイタリアン」といったエスニック料理、イタリアン料理もある。

実際に、ひねを使った料理を味わってみた。ひねは育成期間が長い分、肉はやや硬めだが、歯ごたえがとてもいい。そして、コクと旨みもしっかりあって非常に美味しかった。橋本商工会館にあるレストランの支配人は「ひねは工夫次第でいろいろな料理を作ることができます」と話していた。

また、ひねのデビューと同時に登場したのがキャラクター「ひねキング」だ。

性格が“コワヤサシイ”と言う通り、ちょっと強面な雰囲気だが、よく見るとなかなか憎めないかわいらしさ。しかも性別は“おばちゃん”。そして、特技は“ダンス”であり、着ぐるみで登場する際、1体と2人セットで「ひねキング&ひよこシスターズ」として華麗なダンスを披露する。「ゆるキャラ(R)さみっと情報局」にもしっかり登録済みで、一度見たら忘れられないキャラだろう。

10月下旬に、ひね肉の骨つき1本が丸ごと入ったレトルトカレーを発売する。橋本市内で購入すると税込600円で、販売場所は橋本商工会議所、地元JAの農産物直売所「やっちょん広場」など。また、インターネット通販でも発売予定(税込630円)

橋本へは、大阪・なんばから電車で約45分。山あり川ありと自然にあふれていて、ちょっとした日帰り旅行にもおすすめの場所だ。橋本のご当地グルメ「ひね」が、和歌山から関西、そして全国ではたしてブレイクするか。インパクト抜群のキャラクターとともに、今後の展開が楽しみだ。


【取材協力】 橋本商工会議所

橋本のご当地メニュー「ひね」| 橋本商工会議所

(Writte by Aki Shikama)


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