大阪のさまざまな土産を取り扱うお店「いちびり庵」で、最近のヒット商品が『海苔カップ』。コンビニ弁当などでおなじみ、おかずなどが入っているカップケースが“海苔”であり、もちろん食べることができる。しかもエコという優れもので、この商品を開発、販売するのが大阪市にある会社、木村アルミ箔だ。

海苔カップが発売されたのは2007年。当時は「大阪で海苔なんてイメージないし、でも食べてみるとけっこう美味しい。おもろいやないか!」というノリで始まったという。しかも社名の通り、もともと食品を扱う会社ではなく、海苔カップの発売に至るまで“紆余曲折”があった。

木村アルミ箔は1930年(昭和5年)、日本で初めての専門問屋「銀紙屋・木村商店」として創業。以来、チョコレート用アルミ箔の加工などを行って海外にも展開する中で、1995年頃にコンビニエンスストアの急増により、弁当用で電子レンジ・金属探知機対応の特殊なカップケースを開発した。

三代目の木村裕一社長によると「アルミ箔のカップケースだと電子レンジが使えませんでしたから、新しいフィルム製は一時、国内コンビニ市場を独占するほど普及しました。従業員も最初はほぼ家族のみ7人だったのが最大で120人ほどまで増えました」と振り返る。

一方、会社が大きくなるにつれ、商品の品質などが管理できない問題が浮上。さらに、独占状態だったコンビニ弁当のカップケースでも単価の安い中国製が入ってきて、方向転換を迫られる。そして2001年、ISO9001/2000(品質管理マネジメントシステム)を認証取得したのとほぼ同時期、取引先だった東京の海苔屋さんが海苔で作ったカップケースを持ってきたという。

会社で試作品を作ってみると「なかなかいける」と手ごたえを感じた。だが、当時の工場は食品を扱う衛生的な環境などが整っておらず、「万が一、食の問題などが起きると、今ある取引に影響する」と、商品化を泣く泣く断念せざるを得なかった。

転機が訪れたのは、2007年にISO22000/2005(食品安全マネジメントシステム)認証を取得したこと。その前年、スイーツなどを製造する部門を立ち上げており、やっと海苔カップの製造に着手した。 

この海苔カップ、ただの海苔ではない。「大阪産(もん)」に指定されている数少ない大阪・泉州南部産の海苔のみ使っており、海苔の旨みが口いっぱいに広がってとても美味しい。弁当をはじめ、寿司やサラダなど入れるのもおすすめで、そのまま食べることができてゴミとしても残らない。 



現在、海苔の味は1種類だが、今後は「味付海苔」「キムチ味」などバリエーションを増やしていきたいという。1個420円(税込)。大阪のちょっと変わった、子どもからお年寄りまで誰にでもお土産としておすすめなので、ぜひ一度ご賞味あれ。


取材協力:木村アルミ箔株式会社


(Written by Aki Shikama)


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