八十八ヶ所巡りといえば、四国のお遍路さんが有名。だが、実はこの八十八ヶ所、京都の世界遺産に指定されている仁和寺にもあることは、意外と知られていない。
そこで先日、この八十八ヶ所を実際に歩いて体験してみた。

仁和寺には「御室八十八ヶ所霊場」と呼ばれる巡礼コースがある。場所は、正面の仁王門をくぐって金堂に向かって歩き、手前で左に向かっていったん西門から外に出る。
途中に「御室八十八ヶ所一番札所」という案内板、「順拝約二時間」ともあったので、念のため自動販売機でアクエリアスのペットボトルを購入した(これが後に大いに役立つことに!)

そしていざ、一番札所からお参りしていく。見た目はこじんまりとしたお堂で、奥にはちゃんと仏像が鎮座している。

仁和寺のホームページによると“文政10年(1827)当時は本四国(四国八十八ヶ所)への巡拝が困難であった為、時の仁和寺29世門跡済仁法親王の御本願により四国八十八ヶ所霊場のお砂を持ち帰り、仁和寺の裏山に埋め、その上にお堂を建てたのが御室八十八ヶ所霊場の始まりです。”とある。
つまり、四国まで行ってお参りできない人のために、京都でも参拝できるように設けられた、ということらしい。当時、88もお堂を次々と建てたのだろうか、先人の偉業にただただ感心するばかり。

さて次に、二番札所、三番札所と巡っていく。何しろ、約3kmあまりの道中で88もの札所があるので、次の札所、さらにその次の札所が見えていることもあり、お参りもなかなか忙しない。十番札所を過ぎたあたりから、手を合わせてお参りするのを省略することに。
 
しかも、仁和寺の裏にある成就山(236m)に札所が点在しているため、道中も登ったり下ったりの連続。日頃、運動不足な自分にはなかなかハードで、二十番札所を過ぎたあたりから息が上がってきてしまった。でもまだ4倍近くあると考えると「本当に最後まで行くことができるのだろうか・・・」などと不安が頭をよぎってきた。

ひたすら先に進む中、京都の街並みが一望できる場所があり、かなり登っているのに気付かされた。途中、山ウォーキングを楽しむ人、ランニングで山を駆け上がっていく子どもや高校生らにも出会った。地元ではお馴染みのコースのようだ。

四国のミニ版とはいえ、道中で以下のような“難所”も。
雪が積もっていたり、雨が上がった後だったりしたら、もっと悪路になっていたことだろう。しかも、冬なのに汗がどんどん吹き出てきて、先に買ったアクエリアスはあっという間に空っぽになっていた。

そんな中ではあるが、人工の池にあるこんな札所もあって、風情たっぷり。他にも、滝がある場所など、この八十八ヶ所巡り、本当にプチ修行体験ができる。

やっとのことでたどりついた八十八番札所「結願所」。さすが他の札所よりも立派に感じる。所要時間はやはり2時間半ほどかかった。境内には誰もおらず、すべて巡ったからといって特典があるわけでもないが、達成感(と疲労感)は大いにあった。 

なお、仁和寺では、この御室八十八ヶ所の札所でスタンプを押しながら巡礼する「八十八ヶ所ウォーク」も開催している。2012年の第1回は、5月13日の予定。普段も誰でも無料で登ることができるので、お手軽に体験できるこの八十八ヶ所巡り、ぜひ体験してみてはいかがだろうか。

御室八十八ヶ所霊場(仁和寺ホームページ)


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