JR神戸線の甲子園口駅から西に向かって歩くこと約3分、線路の下に小さな“トンネル”がある。トンネルというよりも穴、といったほうがいいかもしれない。とにかく小さいので、車やバイクはとても通れない。ためしに測ってみると、高さ約1.3メートル、幅も1.5メートルほどしかない。下手するとトンネル内で頭をぶつけて流血しかねないだろう。
だが、そのトンネルを行き来する利用者は多いようだ。平日の昼間に訪れてみたが、徒歩はもちろんのこと、自転車を押して頭を下げ、腰を低くしてトンネルをくぐって行く人があとを絶たなかった。トンネルをくぐる前に、向こう側から人が来ていないかを必ずチェックするのは、トンネル内で行き違いができないから。そして、向こう側からの人が出てきたのを確認し、トンネルをくぐる。先にくぐっている人が優先、まるで“暗黙のルール”ができているようだった。
このトンネル、名称は『マンボウトンネル』。西宮観光協会のホームページによると“JRの線路下をくぐり抜けるための通路で、もともと水路として利用されていたものに板を敷いて通路として利用している”とある。しかも、西宮市平松町にあるマンボウトンネルは谷崎潤一郎の小説『細雪』にも登場し、“国道のバス停で「そこのマンボウをくぐった先の一本松の横の家」”などと紹介されている。
しかしなぜマンボウなのだろうか。マンボウというと、水族館で見るあの大きな魚を想像するが、どうも違うらしい。語源には諸説があるようで、炭鉱の公道をさす「間歩」(まんぼ)に由来するのが有力だとか。いずれにせよ、今は住民の貴重な生活路としてしっかり利用されている。西宮市にはマンボウトンネルが甲子園口のほか、平松町と大谷道の3ヶ所ある。
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