日時:2012年8月7日(火)20:00〜
会場:デジタルハリウッド大学・秋葉原メインキャンパス

いよいよ映画『るろうに剣心』の公開がせまってきました。公開に先駆け、全国各地でトークショーや関連イベントが行われている中、私もデジタルハリウッド大学の公開講座に潜入してきました。

まず、注目なのが、この映画、大河ドラマ「龍馬伝」で日本中を揺るがし、つい先ごろNHKを退社してフリーとなった大友啓史氏がメガホンをとった初めての作品であること。また、これまで5700万部を売り上げ、10年前に連載終了した超人気コミック『るろうに剣心』の原作の初の実写化であること。主演は仮面ライダー電王の佐藤健君、国民的美少女コンテスト出身の武井咲さん、ともに若手美男美女起用、「龍馬伝」ファミリーの蒼井優さん、青木崇高さん、香川照之さんが脇をかためていることなど。また、音楽は「龍馬伝」「ハゲタカ」で好評を博した佐藤直紀氏、プロデューサーは「黄泉がえり」「NaNa」を手掛けた久保田修氏…と、こんな豪華キャスト・スタッフ陣を揃えているところで面白くないわけがありません。

今回の講座タイトルは「監督とプロデューサーが語る映画『るろうに剣心』のすべて」。
モデレーターはデジタルハリウッド大学 准教授 高橋光輝。監督・大友啓史氏、プロデューサー・久保田修氏の二人の講座という、映画ファンにはディープな話が予想される顔ぶれ。
会場は秋葉原の駅近のオフィスビルにあり、学生、サラリーマン、OLなど、広く一般受講者、総勢100名が会場を埋め尽くしました。

講座の内容は「なぜ今10年前に連載終了したコミックの映画化なのか」「原作ものを実写化するときの注意」「キャスティングの基準」「映画の見所」「監督独自の撮影・演出手法」「制作マル秘エピソード」「監督とプロデューサーの役割」「テレビ演出と映画演出の違い」などについて触れ、映画やクリエイティブ系の大学ならではのコアな講座として展開されました。スライドを使って、台本の元原稿やイメージボードと言われる出演者の衣装や髪型などのイメージをイラスト化したものなどの公開もあり、普段、映画だけでは知ることのできない、映画の裏側を少しだけ垣間見ることができました。
大友監督は実写化において、原作者と共通概念があったといいます。それは、一切CGを使わないこと。剣心の剣さばきを実写では難しいだろうと、CGでしかありえないと思われているところを、予想に反して、一切CGを使わなかった。生身の人間で演技し、それはスタントマンやアクション俳優ではない日本の一流の俳優たちがアクションを練習して本気でやってみたという演出チャレンジ。アジアのエンターテイメントとしてアクションはコミュニケーション、いわばムービーのルーツでもあると断言されました。

久保田プロデューサーと大友監督が憧れていた時代劇の撮影場所を歩いてみたという映画好きならではの話や大友監督のロス・ハリウッド留学時の体験談などを織り交ぜながら、受講者の笑いをとりながらも、きちんと映画制作に対する世界観を受講者に指南していました。

最後には質疑応答が行われ、「大友監督の留学経験による映像制作への影響について」という質問に対し、日本とは大きく違う、ロスやハリウッド映画界のエンターテイメント業およびその職種の地位の確立、世界最大エンターテイメントのハリウッドが狭き門であること、それにむかって街中に表現することのエネルギーがあふれているところに感動したことを熱く語りました。さらに日本で、作り手の表現場所があることのありがたさなどを強調し、未来の監督にむけてのメッセージでクロージング。

講座終了後も、監督を人目みようと長蛇の列。大友監督のインタビューの掲載誌を持ったファンからの「サイン下さい」という要求にも、にこやかに対応、こだわりが強いのに、どんな人にも肩肘張らず、自然体で対応する、そんな懐の広さから生まれ出る大友ワールドの作品群に惹かれてしまうのは私だけではないようです。

映画「るろうに剣心」は8月22日先行公開。
最後に、本作の見所は、日本における’世界に届く「本気のアクションシーン」’、特に佐藤健君の殺陣シーンは見もの。

個人的には前作「龍馬伝」“人斬り以蔵”(岡田以蔵)役の印象が残る佐藤健君が、映画「るろうに剣心」で、「龍馬伝」ファミリーとともに、どのように人斬り抜刀斎こと緋村剣心役をこなすのかに期待が膨らみます。

劇場へ急げ。

※注釈:内容や数字等はD.H大学での公開講座から抜粋。
Written by:さとぽん(佐藤正子)