タイヤの開発競争が激化している。
いまやタイヤもエコの時代で、各メーカーともに、燃費に大きな影響を与える転がり抵抗をおさえた「低燃費タイヤ」の開発にしのぎを削っているのだ。通常のタイヤと交換するだけで、燃費が3〜5%よくなる試算もあるほどだから、今後一般ユーザーの注目度もさらに高まることが予想される。
とはいうものの、「何を基準に低燃費タイヤを選べばいいの?」という人も多いはず。2010年にJATMA(日本自動車タイヤ協会)が業界自主基準として策定したタイヤラベリング制度ででは、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能のふたつを、分かりやすく等級で表している。
等級は転がり抵抗がAAA〜Cまでの5段階、ウェットグリップ性能がa〜dの4段階で表示され、転がり抵抗がA以上、ウェットグリップ性能がa〜dの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義している。ここ最近では、タイヤラベリング制度においてもっとも優れている、「転がり抵抗AAA」と「ウェットグリップa」を両立させた低燃費タイヤが、ブリヂストン、トーヨータイヤのそれぞれから立て続けに発売され市場を賑わしたばかり。それまではAAA-aのタイヤは市販されていなかったのだ。
そんな折、低燃費タイヤの国内売上No.1を2年連続で達成し、昨年の東京モーターショーでは「100%石油外天然資源タイヤ」を発表した、ダンロップを擁する住友ゴム工業の環境タイヤ技術セミナーが開催された。
このセミナーでは、同社の環境への取り組みや最新技術の説明が神戸本社で行われたほか、「50%転がり抵抗低減タイヤ」、ラベリング制度「AAA-a」を達成させた低燃費タイヤ、そして「軽量化タイヤ」という3つのプロトタイプが発表され、すでに市販されているタイヤを含めた試乗会が、岡山のテストコースで開かれたのである。
常務執行役員でタイヤ技術本部長を務める西 実さんは住友ゴム工業のタイヤ開発の背景や今後の展望をこう話す。
「何より大切なのは、お客様がどういうタイヤを欲しがっているかにしっかりと耳を傾けること。それを踏まえた上で、お求めやすい価格と、幅広いサイズ展開を両立させるのが重要です。メーカーとしては技術力はもちろん大切ですが、それがお客様にとって本当にメリットがあるのかということも考えなければいけないのです。技術の押し売りだけではだめなのです」
また、執行役員で営業本部長を務める山本 悟さんは、住友ゴム工業が、国内の低燃費タイヤ売上のNo.1を達成したことについて、「業界に先駆けて低燃費タイヤの開発に取り組んだ姿勢がお客様に評価されたひとつの現われといえるでしょう」と語る。
技術だけを追及して結果的に価格が高くなるのであれば、ユーザー側としてはうれしくない話。価格と性能がバランスしてこそ食指が動くというのは、このご時世、当然の真理と言える。
現段階ではダンロップが低燃費タイヤにおいては一日の長という印象だが、つい先日、ブリヂストンも生物資源由来の原料だけで作ったタイヤのプロトタイプを開発し、2020年の実用化を目指すと発表したばかり。
ますます過熱する低燃費タイヤの開発競争だが、技術の進歩で恩恵を受けるのは我々ユーザーに他ならない。タイヤなんてこれまで意識したことがなかったという人は、これを機に低燃費タイヤを装着してみては?
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