イタリアで今年4月28日、新高速鉄道『Italo(イタロ)』がデビューした。イタリアのヌオヴォ・トラスポルト・ヴィアッジャトーリ社(NTV)による運行で、ナポリからローマ、フィレンツェ、ボローニャ、そしてミラノ間を結ぶ。
そのイタロに先週、ボローニャ中央駅からミラノまで乗る機会に恵まれた。
イタロは、イタリアの高級自動車メーカーで有名なフェラーリを彷彿とさせる真っ赤な車体がとにかくパッと目を引く。イタリア版新幹線といわれるユーロスター(ES)などを運行するイタリア国鉄(Tranitalia)とは別会社だが、線路や駅などは共用している。車両は、フランスのアルストム社のAGV製。
まず、イタロのチケットはインターネットでも購入できるが、駅で買う場合はTranitaliaとは別で「Casa Italo」というサービスセンターで取り扱う。イタロの自動券売機は最新のタッチパネル方式で大きく、すぐ見つけられた。イタリア語や英語、フランス語などに対応し(* 日本語はない)、乗りたい列車の日付や時間、座席などを指定して現金またはクレジットカードで購入する。その際、名前や電話番号などの入力も必要でやや面倒にも感じた。ちなみに、ボローニャ中央駅からミラノ・ポルタガリバルディ駅までの運賃は43ユーロ(約4300円)。
朝8時25分、イタロはボローニャ中央駅に定刻でホームへ入ってきた。乗客を見ると、ビジネスマン風なイタリア人が目立つ。利用区間は同じでも列車別に運賃が細かく違うイタリアでは、最も高いこのイタロやESなどは先を急ぐ、またはちょっとリッチなビジネスマンの利用が多い。
自分があらかじめ指定した12号車は、Cinema Car(シネマカー)。いわゆるテレビカーで、乗車するとすぐイタロのロゴ入りのイヤホンを渡され、差し込む口に入れるとテレビの音声が流れてきた。イタリア語のドラマやニュース、天気などを見ることができ、多少の暇つぶしにはなった。
ミラノに向かう走行中、電光掲示板で「時速300km」の表示も見かけた。日本の新幹線と比べても振動はあまりなくてなかなか快適。特に、車内デザインをイタルデザイン・ジウジアーロ社が担当しているだけあり、シンプルながらイタリアらしいセンスよく居心地がいい。
ただ途中、2回ほど停車した。鉄道が遅れるのはイタリアでは日常茶飯事だが、ESはじめ高速列車はあまり遅れない。結局、このイタロも約30分遅れてミラノに到着。一度だけ車掌から遅れることを謝罪するアナウンスがあった。イタリアの鉄道は日本と違い、相当に遅れないと謝罪のアナウンスなどあり得ないので、サービスと普及に今、力を入れるイタロならではかもしれない。
イタロは今後、サレルノやトリノ、ヴェネツィアまで路線を拡大する予定とのこと。イタリアでの鉄道旅がますます便利に、より楽しくなりそうだ。
(Written by Aki Shikama)