関空の第2ターミナルでは、国内線と国際線で保安検査場を、国際線の場合は出国審査も通過した後、それぞれのゲートエリアで搭乗を待ち、91番から99番までの搭乗ゲートに向かう。大きな空港でおなじみのボーディングブリッジ(搭乗橋)はない。

ピーチが使用する機体はエアバスA320型機などの小型機のみのため、9スポットのうち8つが小型機専用、残り1つがボーイング777などの大型機にも対応する。

一方、搭乗に向かう通路も鉄筋がむき出しで、冷暖房の設備はない。つまり、夏は暑く、冬は寒いが、長居しない場所なのでほぼ問題ないだろう。そして、飛行機に搭乗するために徒歩で向かう。ただ、もし雨が降ったら傘をさして行かなければならない。第2ターミナルの開業日、あいにくの雨でいきなり搭乗客は貸与された傘をさしての乗降となった。激しい雨だと確実に足元が濡れてしまうので、その点は注意が必要になりそうだ。

駐機場には、航空機が自走で出入りするため、牽引車による“プッシュバック”がない。また、機体の重さで轍(わだち)ができるのを防ぐため、舗装をコンクリートとアスファルトに分けたのも、コスト削減の一環。


一方、手荷物受取所も、国内線と国際線それぞれ2ヶ所のみ。やや少ないように思えるが、ピーチでは基本、機内に持ち込む手荷物1個以上が有料になるため、LCCを利用する客は荷物が少ないのを見越しての対策という。


なお、第2ターミナルに向かうアクセスは、エアロプラザ(第1ターミナル)から連絡バスがシャトル運行される。一部の空港リムジンバスは直接、第2ターミナルにも乗り入れる。この連絡バスとして、関西では初めてとなる燃料電池バスも土日祝のみ走っている。クリーンエネルギーとして近年、注目を集める水素・燃料電池。もし利用する機会があるならぜひ乗車して体験して欲しい。


関空に新たにオープンしたLCC専用の第2ターミナル。従来の空港と比べると、コストを削減した簡素な造りが確かに目立つ。だが、必要な設備はほぼすべてそろっているし、ピーチ直営のショップ、ご当地ならではのこだわりグルメ、“和”をイメージした中庭など、シンプルながら快適で楽しめる、誰もが利用しやすい空間づくりが感じられた。

なにより、LCCを利用する理由が、利用者自身のコスト削減であることが大きいだろうから、雨が降っても風が強くても、暑くても寒くても、多少のことなら我慢できるはず。日本で初めてとなる本格LCCターミナルから全国へ、そしてアジアへ、まずは一度ぜひ利用してみて欲しい。先に欧米で成功したLCCは、利用者が増えて路線がどんどん広がっていったのだから。

ピーチなどの本格LCCがデビューした今年2012年は“LCC元年”といわれる。日本の“空”がますます活気づく、関空の第2ターミナルがその起爆剤にもつながることを願う。

KIX第2ターミナルビル
関西国際空港

(Written by Aki Shikama)


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