大阪発の人気ご当地キャラクター「いしきりん」のアテンド・通訳として活躍する「パフォーマーもも」こと山口祐里佳さんは“ももちゃん”の愛称で親しまれている。イベントでいつも明るく振る舞い、会場を盛り上げて元気いっぱいだが、過去に「実は“ひきこもり”だった」時代があった、と打ち明けてくれた。

子どもの頃から自分に自信を持てず、高校生の時に「自律神経障害」と診断された。なんとか高校を卒業して大学に入学したものの、ずっと人ごみが苦手で電車で通学するのも途中下車して駅に座り込んでしまい、授業に遅れて欠席することが増えた。授業での教室の人数ですらとうとう耐えられなくなり、吐き気とめまいを繰り返して家に引きこもる日々。外に出かけるのは深夜、三食分の弁当を買いに行く時だけになったことも。

「引きこもると、食のこだわりもなくなるんですね。動かないので1日1食の生活。たまに昼間で外に出ると日光が目に突き刺さって痛くて“ドラキュラ”になった気分になったこともありました。引きこもり歴1年目の最後、コンビニと自宅のたった500mの外出で筋肉痛になり、階段で息切れする始末・・・まだ20歳だったのに。ある日ふと鏡を見て髪や眉毛がボーボー、口のまわりに産毛がうっすら生えてる自分を見た時、もう女の子として絶望しました」

引きこもり生活で唯一上手くなったのがゲームの腕前だけだった、と当時を振り返る。入学してしばらくして入った大道芸サークルにもまったく顔を出すことができなかった。

「2年生になって『授業は難しくてもサークルは行こう』と、重い腰をなんとか上げて。サークルで外部から依頼があり、老人ホームや子ども会の集まりに行ってパフォーマンスをするとすごく喜んでもらえて『また来てね』と言われると、やりがい、そして生きがいをだんだん感じるようになりました」

学園祭にも参加して少し自分を持ち直しつつあった時に「いしきりんの日」に参加し、東大阪・石切参道商店街で大道芸を披露。そして、いしきりんのアテンドとして声がかかった。(※前編を参照)

一方、パフォーマンスとしての仕事の依頼が自分の知らない方面から舞い込むようになった。ももちゃん自身が企画・提案したゆるキャラとの“おとぎ話ショー”も注目を集め、パフォーマーとしてもゆるキャラの分野でも忙しい毎日を過ごしている。さらに今年11月、国内外の大道芸人たちがあこがれる静岡市での「大道芸ワールドカップ」にも出場。いつかワンマンで、メインステージに立つことを目標に今も精進中だ。

「ひきこもり生活で“独り言”がすごく増えました。1日ずっと1人でしゃべってたんじゃないかと思うほど・・・それが今のしゃべりを生かしたパフォーマンスにつながっているんじゃないかと、今までの人生があるから今日がある、と思えるようになりました。あの時の自分もなくてはならない自分の一部だとしっかり認めて、これからもそんな自分と一緒にがんばっていきます。すべてはこれから、ですね」

ひきこもりだった自分を乗り越えつつ、いしきりんのそばでいまや欠かせない存在のももちゃん。イベント会場をコテコテの関西弁で楽しく明るく盛り上げるMC、女の子らしいかわいいバルーンアートの作品も手がけ、日々“自分らしさ”を生かした大道芸パフォーマンスを披露しながらがんばっている。平成生まれの若手女性パフォーマーとして、さらに活躍の場を広げていくのが楽しみだ。

パフォーマーもも オフィシャルサイト
スモモもモモブログ byパフォーマーもも
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(Written by Aki Shikama)


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