フランス・パリを訪れても、意外と(?)あまり日本人が体験していないのが「エッフェル塔に登ること」だということに最近、気づいた。

日本の大手旅行会社による定番のツアーだと、エッフェル塔への入場は費用がかかるためか、それとも時間的に余裕がないからか、ツアー行程に含まれていないことが多く、近くからまたは遠くからエッフェル塔を眺めて終わり、というパターンが一般的のようだ。だが、実際にエッフェル塔に自分で足を運び、登ってみた身としては、訪れて価値ある場所には間違いない。

エッフェル塔は「La Grande Dame de Fer(鉄の女)」と呼ばれる。120年以上の歴史を持ち、高さは324メートル。建造に2年2ヵ月5日かかり、体重1万100トンを支える塔の構造は、現在の構造学においても注目されているという。エッフェル塔の生みの親といわれるギュスターブ・エッフェルが完成時、1710段の階段を駆け上がり、塔の一番上にフランス国旗を掲げたエピソードも残る。

ちなみに、エッフェル塔は、4本の支柱が支えている。東京タワーがエッフェル塔をモデルに作られたのは有名だが、大きく違うのが「エレベーター」だ。東京タワーは塔の真下から展望台に一直線に上っていく。しかし、エッフェル塔の直下は広場になっているのは、写真からも一目瞭然だ。ではどうやって上るかというと、支柱に沿って斜めにエレベーターが上っていく。

このエレベーターこそ、一度乗る価値がある。塔の竣工当時から116メートルもの高さまで一気に昇降したといわれ、10年後、水力によって動く仕組みになった。さらに約100年後には高圧性の水力油圧モーターに新装されたものの、水力を利用した装置は110年も継続されている。

実際にこのエレベーターに乗ってみると、支柱を斜めに上っていくのはなかなかおもしろく、動きも通常のエレベーターよりもてもスムーズに感じた。もちろん、展望台から眺めるパリの景色は素晴らしかった。

鉄の女といわれるほど、まるで美しくてしなやかで容姿端麗、120年もの間、訪れる人々を魅了し続けているエッフェル塔。それを支えるエレベーター、パリでぜひ体験する価値、大いにあり。