「LCC元年」−昨年2012年は、3月にデビューした日本初の本格LCC(格安航空会社)ピーチをはじめ、ジェットスター、エアアジアと続き、日本でも格安で飛行機に乗って旅ができるようになった記念すべき年になるのは間違いない。そのLCCの先駆けは、欧米だ。特に、ヨーロッパでは、かなり前からさまざまなLCCが登場し、運賃の“安さ”を売りに次々と路線を拡大していった。一方、価格競争に負けて経営破たんするLCCも少なくない。

ヨーロッパで最もメジャーなLCCといわれるのが「ライアンエア」だ。アイルランドを本拠に1985年に設立し、現在153もの都市に就航する。国際旅客数としては世界最大の航空会社。まず、その破格の運賃に誰もが驚く。たとえば、ロンドン〜パリで片道たった0.99ユーロ(約100円)を売り出した時、日本でも大きな話題になった。

そのライアンエア、実際に一度だけ乗ったことがある。

路線は、パリのボーヴェ空港からローマのチャンピーノ空港。運賃は、スーツケース1個(15kg)分を追加して1万円弱。もう少し早めに予約できていれば、機内持ち込み手荷物のみで2,000円足らずのはずだった。価格が急に変動するのがLCCらしいが、他の大手航空会社や鉄道などと比べてもこの運賃はやはり安い。

だが、パリでシャルルドゴール空港でもオルリー空港でもなく、ボーヴェ空港は初めて。あの『地球の歩き方』にも載っていない。なんとかインターネットで調べ、パリ市内からリムジンバスで向かった。とてもパリとは思えない小さなローカル空港だった。

オンラインチェックイン時にあらかじめ印刷した紙がそのまま搭乗券になる。印刷を忘れると、60ユーロ(約6,000円)も取られるようだ。搭乗口から飛行機までは徒歩、座席は“自由席”、つまり早い者勝ちだ。機内では、座席に通常かかっているフリルがなくて安全のしおりが張り付けられていて、上部にある荷物入れのふたにも広告があった。フードメニューもすべて有料。免税品の販売もあってここで稼ごうとしているのか、客室乗務員(CA)が何度も往復してアピールしていたのも印象的だった。なお、CAによるサービスはやはり一切、なし。

今回のフライトでは少々の遅延はあったものの、無事にチャンピーノ空港に到着した。以前、別のLCCをヨーロッパで利用した際、広いターミナルで一番遠い搭乗口まで歩かされたり、出発と到着が1時間以上遅れたりしたこともある。ただ、まわりで誰も特にクレームを言っているような客は見かけず、「安いんだから、仕方ない」といった感じだった。

日本でのLCCも、欠航時に他社への振替便がない、機内のフードメニューがすべて有料など欧米にならったサービス、そして運賃システムなどが随所に導入されている。すぐにこのスタイルが日本で浸透するのは難しいかもしれないが、ヨーロッパで気軽にLCCで行き来するのを見ると、安さが大きな魅力なのが間違いなさそうだ。


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