少子高齢化や核家族化が進み、子育て時代にファミリー向け住居を購入したものの、自宅が広すぎて掃除もままならないと悩む高齢者も多い。すでに子供も自立し、夫婦2人で生活するのであれば、多少狭くとも、もっと駅や病院などの公共施設の付近など、利便性の高い場所に住みたいと考える人のも当然だ。

そんななか、3月1日に東京急行電鉄株式会社が東急田園都市線たまプラーザ駅前に、「たまプラーザ テラス リンクプラザ」を開業した。同施設は、駅と大型商業施設「たまプラーザ テラス」、また定期借地権付分譲マンション「ドレッセ たまプラーザ テラス」を総称したもの。両施設はペデストリアンデッキで繋がれており、自由に行き来することが可能。

しかし、ただの駅前型複合施設ではない。

今回、東急電鉄が同施設に対して抱いているコンセプトは、「住みかえサイクル」。これは、変化するライフスタイルにあわせて、住まいを住み替えていこうというものだ。たとえば、高齢者夫婦であれば、広い家に住むよりも、買い物や通院に便利な公共施設近辺に住んだほうが使い勝手が良い。一方、子育て世代であれば、使い勝手の良さよりも家の広さなどを重視する傾向にある。そうした世代ごとに違うニーズに着目し、住宅をマッチング。世代別に、快適に暮らせる施設づくりを心がけたとか。

住宅というハード面だけでなく、サポート体制にも力を入れている。それぞれの家庭の住居からライフプランまで、生活に関する悩み相談に応じるコンシェルジュによる「住みかえサポート」や、同社の新築マンションや新築戸建て住宅に入居した人に対して、お手伝いサービスや防犯相談、シニアセキュリティなどの総合生活支援をおこなう「プレミアムデイズ」などのサービスを用意。

さらに、同施設内には、デイケアサービスのほか、保育園や内科、歯科などのクリニック、銀行、カフェ、生活雑貨販売店、マッサージ店などの公共施設が組み込まれている。クリニックによっては、訪問診療もおこなう予定だ。まさに、子供から高齢者まで、幅広い層のライフスタイルを考えての施設選びがおこなわれている。

また、今回、同社で販売しているマンションは、定期借地権付(建物には所有権があるが、土地に関しての所有権はなく、一定期間が過ぎたら返還の必要がある)なのだが、これは、52年間の借地期間満了時には、再びその時代性や街のありかたに合わせて、新たな街を開発していこうという計画がある。

「終の棲家」という考えはもう古い。今後は、ライフステージによって、家や街を「住みかえる」ことが当たり前の時代が来るのかもしれない。