笑いの表現方法は数あれど、最近筆者が特に楽しみにしているのは、「演劇系コント」をメインに活動する若手ユニット「順風」の公演である。
「順風」は2010年に結成されたコントユニットで、毎回「男子部」「女子部」に分かれて、年に5回の公演を行っている。そして、年末には男女合同の公演を行うのだが、そんな中の一幕を、筆者は忘れる事ができない。

舞台は一般家庭の玄関。保険会社のセールスレディが必死に契約を取り付けようと、家主の男に頭を下げるも、全く相手にしてもらえない。自分の業績の悪さや、懸命さとは裏腹に伸びない契約数に涙するセールスレディに困りながらも、追い返そうとすると家主・・・そこに突如として現れる80年代トレンディドラマの中から出てきたかのような男女の一団!そして突如流れ出す浜田省吾の「悲しみは雪のように」!!

呆気にとられる家主と観客を横目に、一団は「弱気な姿・・あんたらしくナイよ?」等のこれまた80年代トレンディドラマ的クサイセリフで、セールスレディを励ます。そう、彼らはセールスレディの大学時代のサークル仲間だったのだ!

その後も、話は家主(と観客)を横目に急展開。やれ「最後の夢をかけて海外に美術留学」だの「みんなの知らないうちに付き合ってたカップル」だの、しまいには「今日一人だけ来てないメンバーが、交通事故にあったという一報が入る」等、80年代トレンディドラマでよく見た事のあるようなクサいシーンが次々に繰り広げられる。

他人の玄関で勝手に一喜一憂し盛り上がるメンバーと、それを目の当たりにする「ポカーン」とした家主の表情の落差が、たまらなくこちらの笑いのツボを刺激する。

醸し出す雰囲気や、小道具や衣装の効果もさることながら、全員が的確に80年代トレンディドラマ的演技を行う事により「当時のドラマのありえない急展開っぷり」や「セリフ、挙動のクサさ」「バカバカしくすら思える当時のセンス」等、の面白さが生み出されているのだ。
これは、役者の演技力が無ければ絶対に成立しない笑いであり、そんな高度な笑いに挑戦しているのがこの「順風」なのだ!

この他にもJR沿線にありそうなしょっぱい駅のしょっぱさを的確にスクープする一人芝居「足立ジャーナル」や、コントのどこかに必ず挿入されるやたら気合の入ったアイドルダンス等、見どころは盛りだくさんで、気がつけば終演しているのだが、顎は笑い疲れて痛いという事は毎度の事である。
 
↑JR大森駅に見られるような、その土地特有の
しょっぱさをスクープする「足立ジャーナル」

また、人気お笑いコンビ『ラーメンズ』等、多数の人気ユニットにコント台本を提供する構成作家 故林広志氏が、協力している点も見逃せない。故林氏は、順風の為に台本を書きおろし、演出も手がけられている。ファンの人は絶対チェックすべきだ。

そんな順風の公演が、今月22日から3日間、下北沢で行われる。

≪順風女子公演 『だんしがねてるまに…』≫
【台本】
故林広志 足立信彦 匁山剛志 オカドミキ
凪沢渋次(ナギプロ) 梨本浩一(MILITARY POWER) ひがしじゅんじ(643ノゲッツー) 向田邦彦

【演出】
故林広志と順風女子

【日時】
3/22(金) 19時半
23(土) 15時と19時
24(日) 14時と18時

【会場】
しもきた空間リバティ(世田谷区北沢2-11-3イサミヤビル4F) 

【料金】
前売り 2,000円 / 当日 2,500円

【出演】
今井英里・伊藤摩美
秋枝真(大雑会)・井口千穂(7の椅子)・里中あや(ナインズプロモーション)・白井絵莉・千田阿紗子
杉岡あきこ(殿様ランチ)

予約受付中の為、気になる人は是非見に行く事をお勧めする。見終わった後の顎の疲れと、ハッピーな気分は筆者が保証するんで。


(Written by 松岡隆司)


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