去る3月21日、前田敦子さん出演で「つながりやすさNo.1」をアピールするソフトバンクが「モバイルネットワークに関する説明会」を開催した。
携帯電話会社の記者会見といえば、新商品の発表や決算発表などが主だが、今回は異例の「説明会」という趣旨での記者会見だ。

前述のCMで「つながりやすさ」がとにかく1位になったことだけはわかると思うのだが、15秒のCMに登場するグラフをよく見ると、ソフトバンクの「スマホ音声接続率」が98.2%であるのに対し、時点の98.1%と、パッと見では誤差程度にしか差がないように見える。そもそも、「つながりやすさ」はどうやって調べているのか。
同説明会では代表の孫正義氏自ら登場し、1位になるまでの経緯や詳細について説明した。

CMでは一瞬で見にくいかもしれないが、調査はイプソス社によるもので、音声接続率については、ユーザーに実際に電話をかけてどれだけつながったのかをチェックするという、なかなかにアナログな方法によるものだ。
スマートフォン時代に重要なのは、電話(音声接続)だけではない。携帯の使用時間の80%を占め、ここ5年で60倍にまで増えているといわれるデータ通信だ。こちらはなんとラーメン店を検索するアプリ「ラーメンチェッカー(Agoop)」をも指標としているのだとか。
ちなみに、同社は音声接続だけでなく、パケット接続率もNo.1となっている。月間1.5億件の通信ログを元に調査する接続率は、地域別、時間別、駅やショッピングモールといったランドマーク別などあらゆるカテゴリに分類して調査を行なっているが、ほぼ全てにおいてソフトバンクのパケット接続率が1位となっているのだとか。
ちなみに、数あるランドマークの中、ゴルフ場とスキー場においては他社のほうが上となっており、コンプリートまでもう一歩のようである。


これまでソフトバンクといえば、確かにつながりにくいイメージが強いキャリアであった。解約理由のうち、26%と最も多くの割合を占める理由がつながりにくさであったというから、同社ももちろんそちらに気づいていて、2010年3月に、「電波改善宣言」を掲げたのである。
2013年3月までに基地局の増加などを宣言。3月となった現在、目標であった1.6万台をはるかに超える2万台を設置。「基地局の建設スピードとしてはギネスもの」と孫氏もうっかり自負してしまうほどだ。
これほどの速さで基地局を増やせたのは、大雪が降ってもとにかく「計画通り」に進めたことだそうだ。


基地局を増加させ、1局あたりの利用者数を減らす「小セル化」の推進によって、他社との接続率の差が密接になり、ついには1位に浮上するまでになったようだ。

同説明の同じ日、ソフトバンクは「ダブルLTE」の提供を開始。データ通信が集中する東名阪など都市圏を手始めに、LTE基地局の拡大も進めていく。
これは先日買収経営統合を行った「イーモバイル」の基地局を共有するというもので、1年後には3.8万局ものiPhone5用基地局数となり、アンテナは立っているのにデータ通信がうまくいかないデータの渋滞「パケ詰まり」状態が起こることが少なくなることが期待される。

これまで、基地局を多く建設し、接続率を上げることになったきっかけのひとつに、3.11の震災があったという。
通信が混乱があったことで、届かなかったメッセージ、それによって助からなかった命があったかもしれないことに、通信事業者としての強い責任と使命を感じたのだとか。

通信も新たなライフラインであるとして、ソフトバンクは通信事業者間の競争だけにはとどまらない、さらなる「つながりやすさNo.1」を目指していくようだ。