「好きな人同士でグループ作ってくださーい」から、誰にも看取られずに孤独死、2週間後に発見されるまで、いくつになっても孤独への恐怖にさらされて生きているのだから、これはもう怪我や病気だけでなく、孤独に対する保険があってもいいくらいである。
しかし、現代の人は仲間外れになることを恐れすぎてはいないか。もう、どうジタバタしたって今まで「ぼっち」だった者はこれからもあらゆるシーンで「ぼっち」なのだから、この孤独と向き合って行くしかない。
孤独と向き合うことで人は成長する、バーに一人で行けないほどの「孤独力」を持たない男は大成しないと指摘しているのは、『「孤独」が一流の男をつくる』という著書。
著者は東京スポーツ新聞社で文化部長、出版部長を歴任した出版プロデューサーの川北義則氏。独立後の現在まで100冊を超える著書のなかで豊富な人生経験に裏打ちされた人生哲学について語る。
もともとはこれから定年退職や老後を意識し始める40代から50代の男性にむけた本だったようだが、意外にも20代から30代男性の購入者が多いようだ。
精神科医の香山リカ氏が指摘する通り、携帯電話やインターネットの普及によって「独り」であることが許されないようになってきたことで、より孤独への恐怖を感じやすくなっているのかもしれない。それでもって、現代の20代から30代といえばこれらのコミュニケーションツールの劇的な普及を肌で感じてきた世代でもあるというわけだ。
川北氏は新聞記者だったころにある作家の原稿を取りにバーへ行った時、その作家から漂ううらやましい大人の色気に、一瞬声をかけるのも忘れて見とれてしまったという。
バーやレストランに一人で入るのは気後れするかもしれないが、そんな空間で自然に振る舞えるようになることが、一流の男をつくる大切なレッスンだという。
まずは、今晩あたりひとりでバーにでも行ってみよう。
(Written by 笹川太志)
(photo by atmtx)