「メタボ」こと「メタボリックシンドローム」は、今や誰もが知る言葉となったが、厚生労働省が次に広げようとしているのがこの「ロコモ」こと「ロコモティブ・シンドローム」である。
(photo by Petranek Fitness (Crossfit LA))
「ロコモティブ」は“運動器”という意味の英単語で、2007年に日本整形外科学会が提唱。日本語では「運動器症候群」と訳される。
簡単にいうと、歳をとったときに筋力の低下、股関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などで運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりの状態になるリスクが高い状態のことを言う。
メタボと同じく、直接の病気ではないのだが、「将来病気になりやすいですよ」というサインがこの「ロコモ」なのだ。
ロコモティブ・シンドロームになっている人は、以下のようなことがあてはまるという。
1.最近、運動らしいことをしていない。
2.靴下やズボンを座って履くようになった。
3.列に並んででもエスカレーターを利用するようになった。
4.電車のなかで、いつも座れる場所を探している。
5.近いところでもタクシーを利用している。
6.歩くスピードが遅くなって、人に追い越されるようになった。
7.歩いていても、靴がひっかかることがよくある。
これらに一つでもあてはまるのなら、あなたもロコモティブ・シンドローム予備軍かもしれないのだ。
若者のあいだでも予備軍が急増しており、その数は4700万人にのぼる。
4700万人といえば、日本人の約半分にあたるわけで、これらに当てはまった人も、落ち込む事なかれ、今から挽回する方法は山ほどあるのだ。
2007年に新語が開発されて以来、同時進行でロコモ対策のための家でも簡単にできる「ロコトレ」が開発されてきた。
足腰を正しく鍛えられることが目的なのだが、最も基本的で簡単なロコトレを紹介しておこう。名付けて「かべコーナースクワット」だ。うーん、ジジくさい。が、ここでバカにしていたら将来は寝たきりが待っている。
部屋の角の直角になっているところに図のように立ち、スクワットを行う。かかとを上げない、ひざがつま先より前にならないようにする、といった点は普通のスクワットと同じだ。
膝と足の角度を同じ方向に向ける、ふくらはぎとももの角度が90度になるようにするのがポイント。1セット5回、キツいようなら、3回でもいい。
それをたとえば、朝昼晩飯の前と、トイレに行ったあとと決めてやってほしい。これで、だいたい10セットになるが、一日にそれだけやれば十分なのだ。
男性の生涯未婚率は20%を超え、結婚したとしても出生率は1.39人。多くの人が自分の老後を親族にみてもらうことが難しい時代だ。年をとっても足腰だけは動くようにしておくべきではないのだろうか。
「メタボ」とともに、今年は「ロコモ」があなたの不安を煽る!
(Written by 笹川太志)