村一番の洋品店の娘ローズは、タイピングが得意であり、向上心が強く、自我も強い田舎娘であります。
時代は1950年代。大きな戦争が終わりようやく世の中も安定してきた。外で働く女性が増え始め、「秘書」の仕事に憧れた。ローズも田舎を飛び出し、もう少し都会のノルマンディーの町で保険屋の秘書として雇われるわけです。得意のタイピングで。
雇ってくれた保険屋の男は何かこうスキのないニヒルな中年男性のルイ。普段は不器用だけどタイピングだけは速いローズの才能に目をつけ、タイピング大会に出場するように「優勝しなかったら解雇」と脅して特訓を始めるんですね。
(C)2012 – copyright : Les Productions du Tresor – France 3 Cinema – France 2 Cinema – Mars Films –
Wild Bunch - Panache Productions – La Cie Cinematographique – RTBF (Television belge)(C) Photos - Jair Sfez.
タイピングの世界も体力がいるみたいです。タイピングの速さはもちろん、ジョギングから始まり、集中力を高めたりしながら大会に挑む。まるでスポ根少女漫画みたいな世界です。もちろん最初は挫折。鬼コーチ・ルイにいやいやながらも特訓を続け、そんな二人はぎくしゃくしながらも惹かれ合うわけなんですね。
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しかし、これはフランス映画です。ただのスポ根少女漫画じゃないんです。鬼コーチの特訓の末その努力は報われ二人はめでたく結ばれた。Fin。なんてヤボな内容じゃないんです。お互い惹かれているはずなのにローズに手を出そうとしないルイ。何で?あんたフランス男でしょ?ラテンの血が流れてるでしょ?おかしいだろ!?
物語が進んで行くと、ルイの???な行動がだんだんわかってくるんですね。男心のこのフクザツさはなかなか表現できない。クリストファー・ノーランは絶対できない。でもレジス・ノワンサル監督さんはやってのけてしまう。恋愛映画においてフランス映画に優るものなしなんですね。
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オープニングからはじまるポップカラーのアートワーク。徹底的に1950年代の内容なんですが、古臭さを感じさせないのはセンスの賜物だと思うのです。
あたくしが未就学女児時代にこの映画を観たら、クリスマスプレゼントはタイプライターが欲しいとサンタさんにおねだりしてましたね。絶対。
「タイピスト!」
【監督】レジス・ロワンサル
2013年8月17日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次ロードショー
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