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今年カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した「そして父になる」を観て来ました。監督は「幻の光」や「誰も知らない」などドキュメンタリーの手法を使った作品を得意とする是枝裕和です。(写真:(C)2013『そして父になる』製作委員会)

常に「勝つ」ことを念頭に勝ち組として人生を歩んできた野々宮良多(福山雅治)。妻みどり(尾野真千子)と今度6歳になる息子の慶多(二宮慶多)と都心のタワーマンションで何不自由なく暮らしていた。
慶多の小学校お受験の日、みどりが里帰り出産した群馬県高崎の病院から話があると連絡が。後日話し合いに立ち会うと6年前にその病院で赤ちゃんの取り違えの事故があったとの事実を告げられる。群馬県で小さな電器店を営む斎木雄大(リリー・フランキー)と妻ゆかり(真木よう子)の長男として育っていた琉晴(黄升)が良多の本当の子どもだった。

良多がイヤな奴なんですよ。ほんとエゴ丸出しなんですよ。表向きは子どものためを思ってって小学校のお受験とかピアノとかやらせてますけど、子どもを自分の人生を勝っていくための道具としてしか思ってないんですよ。黒いレクサス乗って土日も自分の勤める大手ゼネコンで仕事ばっかしてるんですよ。子どもと一緒に過ごす時間なんてほとんどないんですよ。慶多がお受験の面接で夏休みはお父さんとキャンプに行ってたこ揚げをしたって嘘つくんですけど、そこまでのこと子どもにさせちゃってるわけですよ。
それとは全くの正反対の斎木電器店の家族。お金もないしボロい家には住んでるけど、お父さんはいつも近くにいて遊んでくれる。お風呂に入るのも一緒。たまには壊れたラジコンもハンダゴテ一つで直してくれる。そんなお父さんを子どもたちは尊敬の眼差しで見つめているわけです。

どっちが幸せか。そりゃ斎木電器店の家族のが幸せだ。でも実際はどうなんだろう。都心に住んでいる人たちは競争社会で生きている。子どものためを思って受験をさせ、自分は休日返上で仕事をしまくっている。疲れたとかそんなこと思わない。だって、そんな仕事が忙しすぎる自分が好きだから。まわりもそんなんばっかだから異常だと思わないし。そんな競争社会の中で生きていくには良多みたいに勝ち組になっていくのも幸せなのかもしれないけど。
人生には間違いはつきものだ。あってはならないことだけど、良多には赤ちゃんの取り違えという間違いがついてきた。間違いに気がついたらそこで一度立ち止まって、どう修正していけばいいか、長い時間をかけて直していけばいいんじゃないのか。それが人生というものなんじゃないか。その先にあるのが幸せってものなのかもしれない。

最初はなんで福山がこの映画で主演なんだろうと疑問でしたが、実生活で子どものいない福山雅治だからこそできた役なんだろうなと思いましたよ。
しかし、全くの未定ですが、もしかしたらこれから結婚して子どもを持つかもしれないあたくしにとってはものすごく重い内容でしたよ。家族という重さを担いで人生を全うできるかなぁ。20キロ背負って3000メートルの山は登れるんだけどな・・・。

「そして父になる」
【監督】是枝裕和
2013年9月24日(火)〜27日(金)全国先行公開 9月28日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー