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「なんでこんな安月給なんだよ!」と思うのは、今の御時世もはや民意。納得できない賃金で働くのは辛いものです。しかし、自分で給料を決められる会社があるとしたら、みなさんどう思いますか?

大阪のIT活用支援コンサルティングをおこなっているチャットワークアカデミー株式会社では、なんと自分の給料を自分で決めているという。代表の加藤氏は、自分が代表になってみて、自身自分の報酬を決めた時に、これまでに無い納得感があった。会社の永続、社員・家族の生活、損益と貢献度を照らし合わせて未来の給与を決める。これはどこの経営者もしている事だ。単純にそれを従業員みんながやればいいと思い、この試みを思いついた。

具体的には、チャットワークアカデミーでは、会社と個人の損益を社内で公開。会社全体、各個人、全て数字で分かるようになっている。なので、自分のこの仕事は1件いくらで、これが無事完了したのでいくらなど明確化されていて、会社と自分の利益に貢献する事業内容は細かく数値化して自分の損益に計上するようになっている。

個々の損益が公開されてしまうの!?と戸惑う人もいるかもしれない。しかし、それでこそ会社という組織の良さが出るのだという。
広報の川崎さんによると、「入社したときは自分の給料が公開される、また同僚の給料を見ることに戸惑いがありました。しかし、自分の公開されることでますます頑張ろうと気が引き締まりました。また他のスタッフの給料もいつでも確認できるので、人の給料が気にならなくなりました。あの人はいくらもらっているのだろう?自分より少ないのだろうか?それとも高いのだろうか?そんな疑問をもつこともなくなりました。給料に対しての疑心暗鬼が全く無いので、それぞれが仕事に責任をもって取り組めています。また赤字社員が出た場合、赤字社員に対して黒字社員がコンサルを行いアドバイスする制度もありますので、全員が黒字化できるようスタッフ同士で協力しあっています。」との事で、公開し合った仲でこその良さがあるという。

また、もし自分で給料を決められない場合は、給料を決めてもらう事もできるそうだが、「今のところいないです。給料を自分で決められない人が仮に出てきた場合も、代表と一緒に今後の事業計画について話し合い、なるべく自分で決めてもらうようにしています。」(広報・川崎さん)と、積極的にこのシステムを活用しているそう。

その他の社員からは、「自分の給料を決められるので、責任感が持てるようになった」「労働の対価に対して納得して働くことができるようになった」「結婚して働きにくくなった時、給料を下げて労働時間を短くして働くことができるのもいい」「どれだけ会社に貢献できているのか目に見えてわかるので、満足できる」「他の社員の給料も公開しているので、もっと頑張ろうと思える」という声が実際に上がっているという。
給料を自分で決めるだけで、経営側としてのメリットがこれだけあるのだという。もちろんメリットだけでなく、利益が出ない・ひどい赤字であれば、給料を下げる必要もある。ただ、それは結果を出せなかったと、社員のだれもが納得できるだろう。

会社の全ての情報を公開できる会社は限られているだろう。ただ、会社の情報を公開するメリットを知るには十分な例なのではないか。