辻調理師専門学校など、東京・大阪・フランスに食のプロを育成するスクールを持つ日本最大の“食”の教育機関「辻調グループ」(大阪市、校長:辻芳樹)は、全国の男女572人(20〜60代/調査期間:2013年10月9日〜11日)を対象に「和食」に関するアンケート調査を実施した。
ユネスコ無形文化遺産の記載勧告前に実施された本アンケートでは、政府が「和食」の世界遺産化に向けて申請をしていることを知っていたかを聞いたところ、63.8%が「知らなかった」と回答。しかし、世界遺産登録になることに対しては、82.4%が「嬉しい」と回答しており、「和食」が外国の方に理解されていると思うと答えた方も76.0%に上った。
日本人にとって「和食」を構成する重要な要素は、「季節」の食材(76.6%)、「日本産の食材」(67.2%)に続き、「器や皿」(56.8%)がランクイン。旬の食材はもちろん、視覚でも楽しみ、日本の四季を感じ取れる要素がランクインした。また、この結果を反映するかのように、「和食」と聞いてイメージするメニューは「寿司」(43.5%)がダントツの1位となり、2位の「刺身」(9.3%)に34.2ポイントもの差をつけた。
今回、無形文化遺産に登録された「和食;日本人の伝統的な食文化」とは、日本人の食における様々な社会的習慣を指し、我々の日常に溶け込んでいるカレーライスやラーメン、ナポリタンのような日本独自の変化をたどったメニューも「和食」という定義として登録される。これらのメニューに対して「和食」と思うか尋ねたところ、「焼きそば」は44.6%であったものの、「ラーメン」(28.3%)、「カレーライス」(22.7%)、「ナポリタン」(18.2%)、「カリフォルニアロール」(12.2%)と低い数字となった。すでに国民食となっている「カレーライス」でも、4分の3以上の方々が「和食ではない」と意識しているようだ。
辻調グループ代表の辻芳樹氏は、今回の無形文化遺産登録にあたり「『和食』がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことを大変喜ばしく思います。また、世界に向けて日本の食文化を『守る』と公約したことについて重く受け止めています。次世代の料理人育成を担う私たちとしては、日本の食文化を継承するだけでなく、未来をどのようにデザインするかも読み取らなくてはいけません。登録そのものを一過性のイベントで終わらせてはいけないと教育機関としての役割と責任の重さに身の引きしまる思いがします。」とコメントした。