チューリッヒ・インシュランス・グループの生命保険部門として、日本市場の個人保険分野で事業を展開するチューリッヒ生命が、2月20日からYOUTUBE上で公開しているスペシャルムービーが話題になっている。
タイトルは「Let your care shine through 〜あなたの中のケア〜」。主人公である働き盛りのビジネスマンが日常生活の中で、周囲の人々と触れあう様子を描いた2分38秒間のショートストーリーだ。そこには保険商品やサービスについての説明、押しつけがましいコーポレートメッセージといった“企業PR”めいた要素などまったく存在しない。
淡々と、そして丹念に描かれたシーンは、決して目新しくも、刺激的なものでもないが、誰もが経験しうる“日常”が描かれているからこそ、視聴者が自分の生活に置き換えることができる。そこに当事者意識さえ生まれ、気持ちの中に静かに浸透していくように思えるから不思議だ。
ムービー製作にも携わったという、チューリッヒ生命の広報担当者、中本三千香さんは、制作背景についてこう語る。
「電車の中でぶつかっても謝らないとか、困っている周囲の方への気配りが不足しているとか、そんな不満を耳にすることが多くなり、最近の私たち日本人の間のそんな風潮が気になっていたのです。その反面、震災後の被災地におけるボランティア活動への関心の高さなどから見られるように、心の中に優しい気持ちが存在していることは確か。アウトプットすることが苦手なのでは、と感じていたのです」(中本さん)
助け合おうという気持ちがないわけではないのに、それを表現できない自分がいる。これまでの自分の生活を思い返してみても、確かに思い当たる節はたくさんある。他人への思いやりはアウトプットして初めて形になるのだ。
「生命保険会社という性質上、弊社のコールセンターには、ご家族が病気になったり、ご不幸があったお客様からのお電話が数多く寄せられます。そういった方々は、不安や悩みを抱えていらっしゃることも。一般的に企業のコールセンターの多くが、一人あたりの受電時間に制限を設ける中、弊社はそのようなことはせず、すべてきっちり対応。このような“心配り”が企業文化としてしっかり根付いています。もちろん、ムリをする必要はありませんが、できる範囲でお互いに助け合うことの大切さを、押しつけるわけでなく、じんわり伝えていきたいと考えていました」(中本さん)
そういった企業精神を正しく伝えるには、15〜30秒のテレビCM枠では収まらないと判断。時間制限のないYOUTUBEによる配信に踏み切ったというのも納得のいくところだ。
トーンを抑えたスタイリッシュな映像の中で、登場人物たちが身に付けているマフラーの青色が鮮明に浮かび上がる演出は鮮烈で、かなり印象に残るのだが、それもそのはず。実は企画者も監督もフランス人で、製作スタッフにはアメリカ人も日本人もいたという。ワールドワイドに展開するチューリッヒ生命ならではの多国籍な布陣だ。しかし、その内容は良くも悪くも、どっぷり日本的。
「よく、『外国の方は感性が違う』と言われがちですが、確かに文化の違いはあるものの、人と人とのコミュニケーションや人を思う気持ちに関しては、同じ人間同士、感じることや考えることは一緒なのだと実感しました」(中本さん)
もちろん、受け止め方は人それぞれだと思う。固定観念を植え付けたくはないので、あえて解説はしないが、まずは動画の中に登場する青いマフラーが何を意味するのか考えながら、じっくり鑑賞してほしい。そして自分の日常生活を思い起こしながら、忘れかけていた“何か”を感じ取ってほしいものだ。
チューリッヒ生命
スペシャルムービー
「Let your care shine through 〜あなたの中のケア〜」