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「あまロス」現象まで引き起こし、大ヒットとなった2013年4月放送の朝の連続テレビ小説「あまちゃん」。同作の後ということで、当然反響や視聴率を比較され厳しい状況となることが予想された現在放送中の「ごちそうさん」だったが、フタを開けてみれば初回視聴率は21.1%、その後の平均視聴率も21〜24%を推移しており視聴率ベースでは「あまちゃん」を超える結果となっている。

明治から昭和にかけた女性の一代記。若い女性が恋に落ちて結婚し、良き妻良き母として家庭を支えながら、ひとりの女性の人生においての試練や岐点を描いていく、という「ザ・朝ドラ」という感じのストーリーが、視聴者には案外求められていたのかもしれない。

10月からはじまった「ごちそうさん」もまもなく最終回を迎える。
そこで、同作を視聴してきた人を対象に、最も印象に残っているシーンについてアンケートを行った。

まずは、これまでに視聴してきた朝の連続テレビ小説のなかで、最も印象に残っている作品について聞いた。結果は以下のとおり。

ちなみに、昨年実施した同様のアンケート結果はこちら→(『「純と愛」ってそんなにダメだったか? 朝ドラウォッチャーたちはこう見る!』)。

【朝ドラの中で最も印象に残っている作品は?】
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※その他、2票以上を獲得したのは「ちりとてちん」「雲のじゅうたん」「鳩子の海」「おひさま」「ぴあの」「ひらり」「純情きらり」「純と愛」
(エフプレス調べ n=250)

数字はごちそうさんの方が人気であったことを物語っているが、アンケートの結果は圧倒的に「あまちゃん」と出た。
その理由としては「小ネタが面白い」「ポップで観やすかった」「能年玲奈ちゃんかわいい」といったもの。朝ドラ初心者にも受け入れられやすい、人気のあるものに飛びつくタイプのユーザーも掴んで話さなかったのがダントツ1位の要因のようだ。
「ごちそうさん」は朝ドラの代名詞「おしん」をはさんで3位。その理由も「初めて全部見た作品だから」「今放送しているから」といったもので、正統派である分最も印象に残るかどうかは疑問符がつくのかもしれない。

次いで、「ごちそうさん」で印象に残ったシーンを聞いてみた。意見が多かったのは、ざっくり以下のとおり。

◆小姑・和枝がめ以子をいびるシーン(24人)
大阪の西門家に嫁いだめ以子(杏)。
家長(父)がいない西門家では、出戻りの長女、和枝(キムラ緑子)が家計を取り仕切っていた。
嫁ぎ先で生ゴミみたいに嫌われた和枝は、め以子にも同じ苦しみを与えようとする。嫁いだその日から女中扱いで食事を別にとらされ、せっかく作ったメンチカツをひっくり返す、祖母(吉行和子)が宿った大事なぬか床を捨てる、悠太郎(東出昌大)の初任給を勤務先にこっそり取りに行くなど悪事の限りを尽くす。
やわらかな京都弁による嫌みも注目だった。

◆悠太郎 め以子に向けた愛の言葉(13人)
東大卒で理知的・クールな悠太郎だが、反面こっちが赤面するようなセリフが最も多かった。

◆幼少期のイチゴがらみのシーン(11人)
第1週「いちご一会」の軸となった「いちご」。当時めずらしかったイチゴを祖母のトラ(吉行和子)に食べさせようと探しだすのだが、道中川に落としてしまう。め以子はついに見つけられなかったのだが、ガキ大将の源太が探しだして届けてくれる。

◆め以子 逆プロポーズのシーン(10人)
悠太郎がボートの試合に出場している最中、め以子が悠太郎にプロポーズをしようと駆け寄ってくる。ついに川に落ちため以子を悠太郎が試合を投げ出して救い、そこでプロポーズとなるのだが…。

他には、「娘のふ久が弟の先輩に夜這いをかける」「戦時中に巨大な肉を担ぐ杏」などを印象的として挙げる声が多かった。気になる人はNHKオンデマンドなどでチェックしよう。

め以子や悠太郎に関するシーンは、いわば話の本軸で、最も印象深いシーンであるべきだ。
それなのに、それらのシーンの倍を超える人数が、「和枝の嫁いびり」シーンを挙げたのだった。

エディ・マーフィーという役者がいる。
「ビバリーヒルズ・コップ」や「ナッティ・プロフェッサー」などが彼の代表的な主演作だが、周囲の人にこの映画について印象を聞いてみてほしい。
おそらく「あー、エディ・マーフィーが出てたよね…」という答えが返ってくる。エディ・マーフィーそのもののインパクトがデカすぎて、映画を全て見てもエディ・マーフィーが笑う、エディ・マーフィーが怒る、エディ・マーフィーの歯が白い、などエディ・マーフィーのことしか印象に残らないのだ。
それは主演ではない作品、たとえば「ドリームガールズ」などでも同様で、歌うビヨンセをもってしても映画の印象として残っているのは「エディ・マーフィーが出てくる映画」だ。

キムラ緑子さん演じる和枝には、エディ・マーフィーに似たインパクトがあった。
「ごちそうさん」は、和枝のイケズを観るドラマだった。

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