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「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」

村上春樹が訳した探偵フィリップ・マーロウの名文句「To say Good bye is to die a little.」。
レイモンド・チャンドラーが描いたハードボイルド小説「ロング・グッドバイ」は、1973年にエリオット・グールドが主人公を演じた映画。
現在「私立探偵」にカッコいいイメージがあるのも、フィリップ・マーロウの影響によるものが大きいといえる。

小説が刊行された1953年ごろのアメリカを舞台に描かれてきた本作だが、1950年代の東京に舞台を写した日本版の「ロング・グッドバイ」が4月19日からNHKで放送される。探偵フィリップ・マーロウに位置する増沢磐二を、浅野忠信が演じる。デビュー25周年となる浅野忠信は、実は本作が連続ドラマ初主演。
流されず、見失わず、真に正しい道だけを選んで生きていく困難さと意義、それを見せる孤高の男を演じる。

その他のキャストも個性派揃い。綾野剛、小雪、冨永愛、古田新太など、その独特な魅力によって数々の作品で強い存在感を残す俳優たちが揃っている。

時代背景は戦後の転換期。「価値観の大きな変化の中で人々が生き抜く姿は、現代と重なる部分があるはず。いまを生きる人たちに向けて、何を見失わずに生きていけばいいのかという普遍的なメッセージを込めた。深い人間ドラマに仕上がっている」と城谷プロデューサーは語る。

友情、自立、男女の愛憎、喪失と再生など、ミステリーやハードボイルドの枠も超えた「ロング・グッドバイ」。
次から次へと展開するストーリー、ワンシーンにもこだわったキャスティングの面白さ、ファンタジックな映像センスなど見ごたえたっぷり。「ブレない男の生きざま」をじっくり堪能したい人も、「最近、かっこいい男がいない」と嘆く人も目が離せない。

ドラマはNHK総合で4月19日9時から、全5話で毎週放送される。


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シーン写真
女優・原田志津香(太田莉菜)の夫・保(たもつ・綾野剛)は妻殺しの容疑をかけられ、逃亡先の台湾で自殺を遂げた。
保の親友で私立探偵の増沢磐二(ばんじ・浅野忠信)は、彼の死に疑問を抱くが、事件は時の権力者でメディア王でもある原田平蔵(柄本明)の手でもみ消される。
その後、別の事件で原田家の隣人達と関わるようになった磐二は、酒に溺れた小説家・上井戸譲治(古田新太)や出版社の社長(田口トモロヲ)、殺された志津香の姉(冨永愛)などを巻き込みながら事件の核心を握る絶世の美女・亜以子(小雪)にたどり着く。事件は決着したかに見えたのだが…。